ウエハーの傷にだけ色付けして撮影、検査スピードは数百倍に 東芝:TECHNO-FRONTIER 2025
東芝情報システムは「TECHNO-FRONTIER 2025」に出展し、半導体ウエハーなどの検査装置向けの光学検査技術「OneShotBRDF」を紹介した。肉眼や通常のカメラでは認識困難な細かな傷や凹凸を可視化するものだ。
東芝情報システムは「TECHNO-FRONTIER 2025」(2025年7月23〜25日、東京ビッグサイト)に出展し、半導体ウエハーなどの検査装置向けの光学検査技術を紹介した。
東芝情報システムの光学検査技術「OneShotBRDF」のデモ[クリックで拡大]
東芝情報システムが紹介した光学検査技術「OneShotBRDF」は、肉眼や通常のカメラでは認識困難な細かな傷や凹凸を可視化するものだ。
OneShotBRDFは、イメージセンサーとレンズの間に光の反射角度を選択する「多波長同軸開口フィルター」を組み合わせることで、正反射光と散乱光を色分けして撮像する仕組みだ。それによって、傷や凹凸のある部分だけ別の色をつけた像が得られる。
「光学的に色分けした像が得られるので、色を抽出するだけで傷のある箇所が分かる。撮影後のAIによる画像処理との相性も良い」(ブース説明員)
OneShotBRDFの仕組み[クリックで拡大] 出所:東芝情報システム
半導体工場では、ウエハーの検査にレーザー搭載の高価な装置を用いて、時間をかける場合が多い。OneShotBRDFは、カメラのイメージセンサーとレンズの間に多波長同軸開口フィルターを設置するだけのシンプルな構造なので、従来と比べてコストを抑えられるほか、欠陥検出エリアはレーザーの数百倍の大きさなので、検査スピードが飛躍的に向上する。
他に、光学部品や高機能ガラスなど、目視での検査を行っている分野にも導入できる。検査員のスキルによる精度のばらつきをなくし、人手不足にも対応できる。
傷のあるプラスチックプレートをOneShotBRDFで撮影した画像。傷だけが別の色になっている[クリックで拡大]

同じプラスチックプレートを通常のカメラで撮影した画像。角度によって傷が見えたり見えなくなったりする[クリックで拡大]
東芝情報システムは、OneShotBRDFの技術ライセンスをカメラ/レンズ/検査機器メーカーに提供している。
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