RC-IGBTとSiC、ダイでもモジュールでも 東芝の車載パワー半導体:2in1モジュールも開発(2/2 ページ)
SiC MOSFETについては、東芝は2024年11月に同社初となる車載インバーター向けの1200V耐圧SiC MOSFETを発表。ベアダイ製品のサンプル出荷も行っている。
東芝が手掛けるのはショットキーバリアダイオード(SBD)内蔵のSiC MOSFETだ。SBD内蔵のSiC MOSFETでは、SBDに電流を流し、結晶欠陥の拡大を引き起こす順方向電流を流さないようにすることで、特性の変動を防止できる。一方で内蔵SBDがチップ面積の一部を占有することは、MOSFETのオン動作の抵抗を決めるチャネル領域の面積を減少させ、チップのオン抵抗の上昇に直結するが、東芝は内蔵するSBDの配置を工夫(従来のストライプ配置から市松模様に変更)することで、低オン抵抗と高信頼性を実現したとしている。
東芝のxEVインバーター向けSiC MOSFETについて[クリックで拡大]
今回、会場ではxEVインバーター向け各製品について、ベアダイの他、高耐圧かつ小型パッケージを実現する2in1仕様のRC-IGBT搭載両面放熱モジュールや、2in1仕様のSiCモジュールのサンプルを公開。説明担当者は「パッケージベースのビジネスと、ダイベースビジネスの2つのアプローチによって顧客の要望に幅広く対応していく」と語っていた。
上が2in1仕様のRC-IGBT搭載両面放熱モジュール、下は2in1仕様のSiCモジュールのサンプル[クリックで拡大]
東芝のSiCに関しては、2025年6月、東芝デバイス&ストレージが高温環境下での動作が求められる電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなどの電力変換用途に向け、信頼性と効率の向上を可能にする「SiCトレンチMOSFET」と「SiCスーパージャンクションショットキーバリアダイオード(SJ-SBD)」を開発したとも発表。競争力強化に向けた取り組みが進んでいる。
高温環境下でオン抵抗20%減、東芝のSiCトレンチMOSFET
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、高温環境下での動作が求められる電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなどの電力変換用途に向け、信頼性と効率の向上を可能にする「炭化ケイ素(SiC)トレンチMOSFET」と「SiCスーパージャンクションショットキーバリアダイオード(SJ-SBD)」を開発した。
東芝 熱抵抗を21%低減する樹脂絶縁型SiCモジュール開発
東芝は2025年6月4日、樹脂絶縁型SiC(炭化ケイ素)パワー半導体モジュールの新技術を発表した。独自の「小面積チップの分散配置設計」と「AIを活用した設計最適化」により、従来のセラミック絶縁型モジュールと比較して熱抵抗を21%低減し、冷却システムのサイズを61%削減できる可能性を示した。
寄生発振抑制と高速スイッチングを両立、東芝のSiCモジュール
東芝デバイス&ストレージ(以下、東芝D&S)と東芝は、SiCーMOSFETを搭載したパワーモジュールの寄生発振を抑制する独自技術を開発した。【修正あり】
東芝D&S、SBD内蔵SiC MOSFETのオン抵抗を低減
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、高い信頼性と短絡耐久性を維持しながら、低オン抵抗を実現した「SBD内蔵SiC(炭化ケイ素)MOSFET」を開発した。深さの異なるバリア構造を導入することで実現した。
半導体事業全般で技術開発や生産、販売なども、東芝との提携強化を狙うローム
ロームは2024年5月8日に開催した決算説明会で、東芝の半導体事業との業務提携強化に向けた協議を2024年6月に開始すると公表した。ローム社長の松本功氏は、すでに提携を進めるパワー半導体の製造に加え、半導体事業における研究開発や設計、調達、物流、販売といった幅広い分野での業務提携を目指す提案の概要および、シナジー効果を語った。
ローム、東芝と半導体事業の提携強化を協議へ 資本提携も視野に
ロームは2024年3月29日、日本産業パートナーズ(JIP)に対し、ロームと東芝との半導体事業の業務提携強化に向けた協議の開始を提案したと発表した。将来的には資本提携も視野に入れて協議したい考えだ。
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