Cadence Design Systemsが、米国の対中輸出規制に違反していたことを認めた。同社は総額1億4000万米ドルを超える罰金を科された。
Cadence Design Systems(以下、Cadence)は、輸出が制限されている中国の軍事大学に機密性の高い半導体設計ツールを違法に輸出した容疑について、罪を認めることに同意した。米中間の技術競争の激化を浮き彫りにする、象徴的な執行措置である。
Cadenceは証券取引委員会(SEC)に8-K規制報告書を提出し、産業安全保障局(BIS)および司法省(DOJ)と和解に達し、これらの問題を解決したと発表した。
同報告書には、「当該行為が発覚して以来、Cadenceは事業全体にわたって輸出コンプライアンスプログラムへのさらなる投資と大幅な強化に取り組んできた。具体的には、変化し続ける貿易規制に積極的に対処するために策定したポリシーおよび手順の導入などを行っており、今後も継続して実施していく」と記されている。
国家安全保障担当司法次官補のJohn A. Eisenbergs氏は「Cadenceは、輸出が制限されている中国の軍事大学に機密性の高い半導体設計ツールを違法に輸出した責任を負うことに同意し、米国の技術がさらに違法輸出されるのを防ぐために強力な輸出コンプライアンスプログラムを導入した」と述べている。
Cadenceは2025年7月、2025年第2四半期の業績を発表した。売上高は12億7500万米ドルで、2024年第2四半期の10億6100万米ドルから増加した。
これは軍事や核シミュレーションに極めて重要となる技術に関わる犯罪であり、その重大性を考えると、国家安全保障局に違法行為を自主的に開示しなかったことが、厳しい刑罰が科される結果を招いたと考えられる。
Cadenceは、刑事および民事を合わせて総額1億4000万米ドルを超える罰金を科された。これは、厳格さを増す米国の輸出規制に対応するグローバル企業への厳しい警告となっている。
同事案では輸出規制違反の共謀罪1件に対する刑事有罪答弁が行われ、Cadenceは司法省への約1億1800万米ドルの支払いと、商務省産業安全保障局への9500万米ドル超の民事制裁金を科された。司法省と産業安全保障局が、協調的合意に基づいて支払い額を控除した結果、Cadenceが負担する刑事・民事の制裁金および没収金の総額は、1億4000万米ドル超となった。
つまり、刑事罰金の額は、法定最高罰金から20%減額されたことになる。
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