矢野経済研究所は、国内のXR(Extended Reality)市場を調査し、「XRデバイス市場」と「法人向けXRコンテンツ市場」について、2030年までの予測を発表した。これによると、国内XRデバイス市場は、2024年の45万6000台に対し、2030年は87万台規模になると予測した。
矢野経済研究所は2025年8月、国内のXR(Extended Reality)市場を調査し、「XRデバイス市場」と「法人向けXRコンテンツ市場」について、2030年までの予測を発表した。これによると、国内XRデバイス市場は、2024年の45万6000台に対し、2030年は87万台規模になると予測した。
XRは現実世界と仮想世界を融合する技術の総称で、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、複合現実(MR)などが含まれる。今回の調査ではヘッドマウントディスプレイとARスマートグラスを合算し、メーカー出荷台数ベースでXRデバイス市場を算出した。一方、法人向けXRコンテンツ市場は、法人向けXRコンテンツ受託制作市場と、法人向けXRコンテンツサービス市場からなる。市場規模は、法人向け受託製造事業者の売上高ベースで算出した。調査期間は2025年1〜6月。
ヘッドマウントディスプレイ市場は、2024年に新製品の投入が少なかったこともあり、一般向け製品の一部で需要が頭打ちとなった。法人需要も一巡したため、全体として減少した。今後は産業分野を中心にMR表示への対応が必須とみられる。
これに対しARスマートグラス市場は物流分野でのピッキングや現場での遠隔支援などで、法人向けが堅調に推移した。ARスマートグラスにおいても、2026年以降はMR表示に対応したAR/MRスマートグラスが主要メーカーから登場する見込みである。この結果、XRデバイス市場は2030年に全体で87万台と予測されている。このうちARスマートグラスが35万台となり、全体の40%を占めることになる。
国内の法人向けXRコンテンツ(受託制作+サービス)は、2024年に264億6500万円となった。エンターテインメント産業や製造業、エネルギー産業、小売業、宿泊・飲食業向けを中心に、安全教育や研修・トレーニング、技術継承、防災教育といった目的でXRコンテンツの需要が増えた。レンタルやサブスクリプションなど、法人向けXRコンテンツサービス需要も伸びている。
XRコンテンツの有用性やその効果は既に認識されているという。このため今後は、大企業に加え中小企業への導入も進むとみられる。この結果、2030年には444億2200万円の市場規模になると予測した。
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