本稿では、キオクシアホールディングスの2025会計年度(2026年3月期)第1四半期(2025年4月〜6月期)を紹介する。
フラッシュメモリ大手キオクシアの持ち株会社であるキオクシアホールディングスは2025年8月8日に、2025会計年度(2026年3月期)第1四半期(2025年4月〜6月期)の決算を発表した。同期の売上高は前期(前四半期)比1.2%減、前年同期比20.0%減の3428億円である。3四半期連続で前四半期比(前期比)がマイナス成長となった。前年同期比がマイナスとなるのは、2023会計年度第3四半期(2023年10月〜12月期)以来、6四半期ぶりのことである。
2025会計年度第1四半期(2025年4月〜6月期)の営業利益(Non-GAAPベース)は前期比20.5%増、前年同期比64.2%減の452億円となった。前期比が増加するのは3四半期ぶりだ。
平均販売単価(米ドルベース)は前期比で横ばい、ビット換算の出荷記憶容量も前期比で横ばいだった。2025年(暦年)のNANDフラッシュメモリ市場は記憶容量換算で10%台前半の成長と予測した。成長をけん引するのはエンタープライズおよびデータセンターのAIインフラ向け投資だとする。
用途別の売上高では「SSD&ストレージ」(PC、データセンター、エンタープライズ向けSSDおよびメモリなど)向けが最も大きく、全体の63%を占める。売上高は前期比1.0%増、前年同期比2.5%減の2174億円である。
「スマートデバイス」(スマートフォン、タブレット、テレビなどの民生機器と車載機器)向けは全体の23%を占める。売上高は前期比0.7%減、前年同期比48.0%減の790億円と厳しい。
「その他」(SDメモリカード、USBメモリなどのリテール向け製品と、Sandisk向け売り上げ(キオクシアとSandiskの合弁会社経由))は全体の14%と最も少ない。売上高は前期比11.4%減、前年同期比13.5%減の463億円である。
2025年7月〜9月期(2025会計年度第2四半期)の業績見通しは、増収増益である。売上高が4200億円(22.5%成長)〜4700億円(37.1%成長)と非常に強い。営業利益(Non-GAAPベース)は490億円(8.4%成長)〜830億円(83.6%成長)とかなりの幅があるものの、拡大を予想する。
PC向けとスマートフォン向けでは顧客の在庫水準が適正化し、スマートデバイス向けの出荷数量(記憶容量換算)が大幅に増加すると見込む。エンタープライズ・データセンター向けはAIインフラ投資が活発なため、継続して成長すると予測した。
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.