ルネサス エレクトロニクスは、32ビットマイコンRAファミリーとして、電気やガス、水道などのスマートメーターに向けたマイコン「RA4C1」の量産を始めた。電力消費を抑えるとともに、強固なセキュリティ機能を搭載している。
ルネサス エレクトロニクスは2025年8月、32ビットマイコンRAファミリーとして、電気やガス、水道などのスマートメーターに向けたマイコン「RA4C1」の量産を始めた。RA4C1は電力消費を抑えるとともに、高度なセキュリティ機能を搭載している。
RA4C1は、CPUコアとして80MHz操作のArm Cortex-M33を搭載している。また、ソフトウェアを安全かつ柔軟にアップデートできるよう、256〜512kバイトのデュアルバンクフラッシュメモリを内蔵した。データ保存用としては、96kバイトのSRAMと8kバイトのフラッシュメモリを搭載している。
周辺機能として、A-Dコンバーターやチップ温度測定用温度センサー、セグメントLEDコントローラなども内蔵した。パッケージは外形寸法が10×10mmの64端子LQFPあるいは、14×14mmの100端子LQFPで供給する。
RA4C1の特長でもある消費電力については、80MHz動作時のアクティブ電流が168μA/MHz、SRAMを全て保持した状態でのスタンバイ電流は1.79μA未満である。リアルタイムクロック(RTC)専用の電源ドメインを搭載したことで、時刻保持用のバッテリーバックアップも容易となった。1.6Vまでの低電圧動作にも対応している。
セキュリティ機能についても、独自のセキュリティエンジン「RSIP」を搭載した。256ビットのハードウェアユニークキーや真性乱数発生器(TRNG)に対応した他、ラップドキーの生成を含む鍵管理機能、SHAアルゴリズム、AESハードウェアアクセラレーション、最大384ビットの鍵長に対応したNISTおよび、Brainpool曲線準拠の楕円曲線暗号(ECC)もサポートしている。さらに、欧州で今後適用されるサイバーレジリエンス法(CRA)に準拠するための「PSA Certified Level 1」も取得した。
なお、RA4C1を用いた応用機器の開発に向けて、FSP(Flexible Software Package)を提供している。FSPにはさまざまなRTOSやBSP(Board Support Package)、周辺ドライバー、ミドルウェアといった基本ソフトウェアの他、複雑なAIやモータ制御の処理などに向けたレファレンスソフトウェアなどが含まれる。また、RA4C1とルネサス製半導体製品を組み合わせた「スマート単相電力メーターソリューション」も提案している。
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