Cadence Design Systemsが、スウェーデンのソフトウェアメーカーHexagonの設計&エンジニアリング(D&E)事業を31億6000万米ドルで買収すると発表。マルチフィジックスシミュレーション分野でさらなる大きな一歩を踏み出した。
Cadence Design Systems(以下、Cadence)は、スウェーデンのストックホルムに拠点を置くソフトウェアメーカーHexagonの設計&エンジニアリング(D&E)事業を31億6000万米ドルで買収すると発表し、マルチフィジックスシミュレーション分野でさらなる大きな一歩を踏み出した。HexagonのD&E事業は、主にエンジニアリングシミュレーションと解析ソリューションで構成されている。
業界観測筋は、今回の動きについて、Cadenceが2024年にBeta CAE Systemsを12億4000万米ドルで買収し、マルチフィジックスシステムシミュレーション向けにシミュレーション/解析フローを入手した後に続く、必然的な次のステップと捉えている。Beta CAE Systemsは、HexagonのD&E事業と同様に、航空宇宙/自動車分野において力強い存在感を示していた。
HexagonのD&E事業は、同社が2017年に買収したMSC SoftwareのCAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェアソリューションで構成されている。米国カリフォルニア州ニューポートビーチに拠点を置くMSC Softwareは、製品/製造プロセスの仮想開発のためのシミュレーションソフトウェアをはじめとする、CAEソリューションを提供していた。
CadenceはBeta CAE Systemsの買収によって、構造解析の分野で基盤的な地位を確立。今回、さらに自社の構造/マルチボディーダイナミクス(多体動力学)シミュレーションに関する専門知識を強化すべく、HexagonのD&E事業を買収したのだ。D&E事業のフラグシップ製品である「MSC Nastran」と「MSC Adams」は、構造/多体動力学シミュレーションの業界標準として広く知られている。
MSC Nastranは、多分野をカバーする構造解析ソルバーであり、線形/非線形領域全体で静的/動的解析や熱解析を実行する。次にMSC Adamsは、多体動力学シミュレーションソフトウェアで、C++で動作するソルバーとして、ロボット工学やフィジカルAIなどの分野で人気が高まりつつある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.