世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo&Conference」が2025年5月、ドイツで開催された。本稿ではEE Times Japan記者が現地で取材した業界の最新動向および技術を紹介する。
世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo&Conference」が2025年5月、ドイツで開催された。本稿ではEE Times Japan記者が現地で取材した業界の最新動向および技術を紹介する。
Navitas Semiconductor(以下、Navitas)は、「世界で初めて」(同社)量産開始した650V 双方向窒化ガリウム(GaN) ICおよびガルバニック絶縁高速ドライバなど、同社の最新パワーデバイス技術を紹介した。
双方向GaN ICは2段構成の電圧変換アーキテクチャを1段に変更できるもので、説明担当者は「高効率化やコスト削減、設計の大幅なコンパクト化を実現する。これはパワーエレクトロニクスにおける革命だ」と語っていた。
Navitasが展示していたのは2025年3月、「世界で初めて」(同社)量産を開始したと発表した650V 双方向GaNパワーICおよび、同ICを効率的に動作させるための高速絶縁ゲートドライバ「IsoFast」だ。
双方向GaN ICは、従来4つのディスクリートMOSFETが必要だった双方向の電圧/電流制御を単一のデバイスで実現する。コンポーネント削減の他、50%以上のフットプリント削減および、GaNの特性による高速、高効率化が実現できる。
Navitasによると、現在の高電圧パワーコンバーターの70%以上は2段構成を採用する。典型的なAC-DC EV OBCは、最初の力率改善(PFC)段と後続のDC-DC段を実装し、大型のDCリンクコンデンサーも備えている。こうした構成の結果、システムは大型で損失も多く、コストも高くなるという課題があった。Navitasは、双方向GaN ICを用いることで、このPFC段やDCリンクコンデンサーが不要になり、単一のAC-DCコンバーターに変更できるとしている。
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