GaN、SiCパワー半導体の技術革新――PCIM 2025レポート:EE Exclusive(10/10 ページ)
SiC MOSFETについては、東芝は2024年11月に同社初となる車載インバーター向けの1200V耐圧SiC MOSFETを発表。ベアダイ製品のサンプル出荷も行っている。
東芝が手掛けるのはショットキーバリアダイオード(SBD)内蔵のSiC MOSFETだ。SBD内蔵のSiC MOSFETでは、SBDに電流を流し、結晶欠陥の拡大を引き起こす順方向電流を流さないようにすることで、特性の変動を防止できる。一方で内蔵SBDがチップ面積の一部を占有することは、MOSFETのオン動作の抵抗を決めるチャネル領域の面積を減少させ、チップのオン抵抗の上昇に直結するが、東芝は内蔵するSBDの配置を工夫(従来のストライプ配置から市松模様に変更)することで、低オン抵抗と高信頼性を実現したとしている。
東芝のxEVインバーター向けSiC MOSFETについて[クリックで拡大]
今回、会場ではxEVインバーター向け各製品について、ベアダイの他、高耐圧かつ小型パッケージを実現する2in1仕様のRC-IGBT搭載両面放熱モジュールや、2in1仕様のSiCモジュールのサンプルを公開。説明担当者は「パッケージベースのビジネスと、ダイベースビジネスの2つのアプローチによって顧客の要望に幅広く対応していく」と語っていた。
上が2in1仕様のRC-IGBT搭載両面放熱モジュール、下は2in1仕様のSiCモジュールのサンプル[クリックで拡大]
東芝のSiCに関しては、2025年6月、東芝デバイス&ストレージが高温環境下での動作が求められる電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなどの電力変換用途に向け、信頼性と効率の向上を可能にする「SiCトレンチMOSFET」と「SiCスーパージャンクションショットキーバリアダイオード(SJ-SBD)」を開発したとも発表。競争力強化に向けた取り組みが進んでいる。
ロームとInfineon、SiCパワー半導体のパッケージ共通化で協業
ロームとInfineon Technologiesが、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体のパッケージ共通化で協業する。車載充電器、太陽光発電、エネルギー貯蔵システム、AIデータセンターなどで採用されるSiCパワーデバイスのパッケージについて、両社が相互に供給するセカンドソース体制の構築を進める。
TO-247より省面積、ロームの新SiCパワーモジュール
ロームは、DOT-247パッケージを採用した2in1構成のSiCパワーモジュールを開発し、量産を始めた。PV(太陽光発電)用インバーターやUPS(無停電電源装置)、半導体リレーといった産業機器用途に向ける。
実装面積を削減できるパワー半導体モジュール、三菱電機
三菱電機は、パワー半導体モジュール「Compact DIPPM」シリーズとして2製品を開発、サンプル出荷を始める。従来製品に比べモジュールの床面積を約53%に縮小した。パッケージエアコンなどに搭載されるインバーター基板を小型化できる。
Infineon、GaN搭載の軽EV用インバーター開発で中国メーカーと協業
Infineon Technologiesが、中国Ninebot子会社のLingji Innovation Technologyと窒化ガリウム(GaN)パワーデバイス搭載の軽電気自動車(LEV)向けインバーター開発で協業する。InfineonがGaNパワー半導体を供給し、Lingjiの電動二輪車用インバーターシステム開発をサポートする。
ロームのSiC搭載インバーター部品が量産開始、中国大手の新型EVに
ロームの第4世代炭化ケイ素(SiC) MOSFETベアチップを搭載した、ドイツ自動車部品大手Schaefflerの新型インバーターサブモジュールの量産が始まった。中国の大手自動車メーカーの新型電気自動車(EV)に搭載されるという。
東芝D&S、中SICCとSiCパワー半導体用ウエハーで連携
東芝デバイス&ストレージは2025年8月22日、中国の炭化ケイ素(SiC)ウエハーメーカーSICCとSiCパワー半導体ウエハーに関するビジネス上の連携に向けた基本合意を発表した。SiCパワー半導体の特性向上や品質改善および、安定的なウエハーの供給拡大に向けた連携を実施する。
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