米SiTimeは2025年10月1日、同社の第6世代MEMS技術「FujiMEMS」をベースにしたMEMS振動子「Titan Platform」を発表した。同社は本製品で振動子市場に参入し、発振器、クロックICとあわせてタイミングデバイスを全般的に扱うことになる。
米SiTimeは2025年10月1日、同社の第6世代MEMS技術「FujiMEMS」をベースにしたMEMS振動子「Titan Platform」を発表した。すでに32kHz品の量産サンプルの提供を開始していて、同年12月15日からは38.4/40/48/76.8MHz品のサンプル提供を開始する予定だ。
SiTimeが単体の振動子を製品化するのは今回が初めて。本製品で振動子の市場に参入する。それに合わせて、日本法人のSiTime Japanは記者発表会を実施した。
SiTimeマーケティング担当上級副社長のPiyush Sevalia氏によると「Titan Platformは0505(0.46×0.46mm)サイズと、市販の1210(1.2×1.0mm)サイズ水晶振動子と比較して約7分の1の小型化を実現した。起動時間は最大3倍の高速化、消費電力は最大50%の削減も達成している」という。
用途はウェアラブル機器や医療機器、IoT機器など、小型でバッテリー駆動のコネクテッドデバイスを想定している。小型なため、SoC(System on Chip)やマイクロコントローラーのパッケージ内に集積可能で、プリント基板(PCB)上の振動子が不要になる。
「水晶振動子は、サイズが小さくなると最低周波数も高くなっていくが、MEMS振動子は超小型サイズで低周波に対応できることも強み。本製品は水晶振動子向けの発振器とも互換性があり、水晶振動子からの置き換えも容易だ」(Piyush氏)
SiTimeはTitan Platformとあわせ、1210および1620(1.6×2.0mm)サイズの水晶振動子を採用した基板上で、振動子を本製品に置き換えた場合の初期評価を手軽に行えるインターポーザ「SiT6400EB評価ボード」のサンプル提供も開始している。
Piyush氏は「Titan Platformは15年ほどかけて開発した、SiTimeの新たな中核製品だ。既存の製品は機器メーカーなどに提供してきたが、本製品は半導体パッケージに集積できるため、これからは半導体メーカーが顧客に加わる」とする。
同氏は「タイミング市場は、2027年末には発振器が40億米ドル、クロックICが30億米ドル、振動子は40億米ドル、合計110憶米ドルの市場規模になると予測されている」と続ける。「当社は、発振器、クロックIC、振動子の全製品を提供できる完全なタイミングソリューションのプロバイダーになった。それにより、110億米ドルのうちSiTimeのSAM(サービス提供可能市場)は40億米ドルになる」と語った。
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