電子機器を熱から守る放熱塗料を開発、帝人フロンティア:高い放熱性および密着性、耐久性
帝人フロンティアは、高い放熱特性と密着性、耐久性を実現した放熱塗料「ラジエックス」を開発した。電子機器の熱対策に向けて2026年度中にも販売を始める。
帝人フロンティアは2025年10月、高い放熱特性と密着性、耐久性を実現した放熱塗料「ラジエックス」を開発したと発表した。電子機器の熱対策に向けて2026年度中にも販売を始める。
電子機器などでは、搭載されたICなどの発熱によって、性能の低下や製品寿命が短くなる可能性がある。これを防ぐためには効率の高い放熱技術が必要となる。これまでは熱伝導性が高い材料と放熱板などの部材を組み合わせて対策することが多かった。ただ、放熱性をさらに高めるには放熱板の表面積を広げる必要があり、実装面積などに課題があった。
新たに開発したラジエックスは、粒径が5〜15μmのグラフェン粒子を含む複数の高熱伝導フィラーを、塗料内へ均一に分散させることで、高い熱伝導性を実現した。特に、形状が異なるフィラーを混合させることで生じる塗膜表面の微細構造が、赤外線放射を促し放射率を高めているという。
また、非シリコーンの高耐熱樹脂を用いたため、−40〜+200℃の温度環境や高湿度条件でも剥がれることなく、高い密着性と耐久性能を達成した。高い放熱性を実現し、電子回路の設計が容易になる。
帝人フロンティアは、塗装面がアルミニウムや銅などの金属を用いた製品向けに販売していく。今後は、樹脂部品に塗装できる放熱塗料なども開発していく計画だ。
ラジエックスの放熱イメージと、塗装済みヒートシンクの外観[クリックで拡大] 出所:帝人フロンティア
半導体材料の世界市場、2030年に700億ドルへ成長
富士経済によれば、半導体材料の世界市場は2025年の500億米ドル超に対し、2030年は約700億米ドル規模に達する見通しである。内訳は前工程向け材料が560億米ドルに、後工程向け材料が141億米ドルになると予測した。AI関連の先端半導体向け需要が好調に推移する。
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