サンケン電気は中国白物家電市場の急減を下期にも織り込み、通期予想を下方修正。サンケンコアの売上高は前回予想比78億円減の772億円、営業損益は同70億円減で58億円の赤字になると見込む。営業損益については、トップライン減少に伴う限界利益減に加え、後工程再編計画の中で作り込む在庫の積み上げ量を、トップライン減相応に落とす生産調整を織り込み、売り上げ減以上の利益減を予想している。
こうした状況に対し、高橋氏は「マーケット規模の大きい中国市場において、採算性のある新製品の開発になお注力するものの、リソースとしてはIPMの拡販が可能な他地域の大きな市場への深耕を図り、トップラインの伸長に努める」とした。
高橋氏は、業績予想の前提となる市場環境も説明。「米中摩擦をトリガーに、中国における自国製半導体による地産地消の動きが急速に進んでいる。当社の白物家電ビジネスの50%を占めてきた売り上げに大きなインパクトをもたらしている」と強調した。白物家電市場では、中国でのエアコン完成品在庫はピークアウトしたものの、2025年7〜9月期から前倒しで季節性の調整に入っていることに加え、自国製半導体へのシフトに白車がかかっている状況だという。
一方、韓国顧客向けで2026年の生産が2025年度比で伸長する見込みであるほか、エアコン用IPMが新規採用になったことから、今後純増が期待できるとした。ただ、日系の顧客は中国向けで減少していて「当社にも少なからず影響が出てきている」とも説明。中国向けの減少を挽回するため、欧米およびインドの顧客への拡販/深耕を進めているという。
また自動車市場についてICE向けは堅調なものの、米国および欧州における電気自動車(BEV)支援政策の転換を機に、「EVキャズム」が世界的に波及。同社のEVトラクションモーター用パワーモジュールなどにも影響が出ていると強調した。EVキャズムで大きな影響のあるEVのトラクションモーター用パワーモジュールは、2026年度後半としていた需要の立ち上がりが、2027年度以降へ延伸する見込みだという。ただ高橋氏は「長期で見たときのBEVシフトは不変と見ている」とも付け加えた。また、高電圧補機システム(電動コンプレッサーおよびオイルポンプなど)もBEV搭載モデル向けの需要が一時的に頭打ちとなる見込みだといい、高橋氏は「HEVにも同一仕様の製品が搭載されるため、そこへの拡販も進めているところだ」と説明した。
産機/民生市場においては、産機向け半導体が全般的な需要回復に至っておらず、グローバルのテレビ需要も横ばいで変化がないと説明。ここでは業務用空調向けでの展開を進めていく方針で、さらにAIデータセンターの空調/液冷システム向けにIPM拡販を進めていく計画も示した。
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