現在はさらに、赤/緑/青の3色に光るLEDの数を減らし、白色のLEDに置き換えての測位を目指した開発を行っている。事前にLEDの位置を登録しておき、運用時は3色のLEDとの相対関係で白色のLEDの位置を割り出す。理論上、3色のLEDは3つあれば良いという。
月面まで物資を運ぶのには大きなコストがかかるので、picalicoの測位に白色LEDが利用できるようになれば、基地建設作業用の照明などを転用でき、全て3色のLEDを用いる場合と比べてさらにコストを抑えられるのだ。
今回の実験は、3色に光るLEDを3個、白色LEDを9個用いたもの。場所は、JAXA宇宙探査イノベーションハブが運営する屋内実験場だ。床面には硅砂が敷き詰められ、月や惑星の地形を模して平地と斜面が作られていて、月面探査機の運用などの実験が行える。屋内なので天候条件に結果が左右されない。
実験では、ローバーを模した手押し車にカメラを搭載し、LEDライトを配置した実験場内を移動し、測位を行った。このpicalicoによる測位と、正確な測位ができるモーションキャプチャーを比較し、picalicoの精度を検証した。
現時点での精度は、静止時で±5cm、走行時で±20cmほどだという。
共同開発における今後の目標は、凹凸やさまざまな走行速度に対応して精度を高めることだという。さらに、大気がないことによる放熱の難しさや、地球とは異なる太陽光の当たり方によるノイズなど、月面ならではの問題にも対応を進める。
JAXA 宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系 助教の牧謙一郎氏は「日本の国際宇宙探査シナリオ案の2025年版では、2050年代には月面で1000人規模の人類が活動できることを目標としている。それには相当大きな月面基地が必要だが、最初は1人や2人から始まる。picalicoを用いた測位システムは小規模な基地開発に適しているので、初期の段階から活用できる」とし、「将来的に電波を用いた大規模な測位システムが構築されたとしても、月面には電波の届きにくい縦孔や地下空洞が数多く存在する。picalicoはそうした場所でも利用できる」と述べた。
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