図1からも分かるように、トランジスタには3つの端子があります。従って、どの端子を接地するかによって、3つの接続方法に分かれます(図4)。「エミッタ接地回路」、「コレクタ接地回路」、「ベース接地回路」の3つです。詳しい動作原理は次回以降に説明することにして、今回は機能の概要を紹介します。
まず、最も頻繁に使われるのは、エミッタ端子を接地するエミッタ接地回路です(図4(a))。増幅回路として使われており、ベース端子に入力された微小信号を増幅してコレクタ端子から取り出せます。
エミッタ接地回路の次によく使われるのが、コレクタ接地回路です(図4(b))。別名「エミッタ・フォロワ」とも呼ばれます。ベース端子に入力した電圧がそのまま、エミッタ端子に出てくる回路です。入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが小さいという特徴があります。例えば、出力インピーダンスが10kΩのセンサーに、入力インピーダンスが1kΩの回路を接続すると、センサーから取り出せる信号の振幅は1/10になってしまいます。このときに、センサーと後段回路の間にエミッタ・フォロワを挿入すれば、損失を最小限に抑えることができます。
最後のベース接地回路は、あまりなじみの無い回路かもしれません。エミッタ端子に入力した電流と同じだけ、コレクタ端子から電流を出力する回路です。コレクタ接地回路(エミッタ・フォロワ)に似ています。コレクタ接地回路が電圧に対するバッファとして動作するのに対して、ベース接地回路は電流に対するバッファになります。例えば、エミッタ接地の増幅回路にベース接地回路を追加すると、高速動作させることができます(図5)。
それぞれの回路の機能と利得と入力インピーダンス、出力インピーダンスの計算式を表1にまとめました。次回は、エミッタ接地回路の動作原理や定数の決め方、周辺回路をどのように設計していくかを紹介します。
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