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【ESEC2011】ベースバンドICからファームまで全て自社製、ロームがWi-Fiモジュールを開発無線通信技術 Wi-Fi

ロームは、白物家電やヘルスケア機器などを対象にした組み込み機器向けWi-Fiモジュールを開発し、ESEC2011に出展した。

» 2011年05月13日 09時00分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 ロームは、白物家電やヘルスケア機器などを対象にした組み込み機器向けWi-Fiモジュールを開発し、組み込み機器の総合展示会「第14回組込みシステム開発技術展(ESEC2011、2011年5月11日〜13日)」に出展した(図1図2)。

 ベースバンドプロセッサとRFトランシーバICで構成したもの。従来はホスト側に任せていた処理をWi-Fiモジュール側に担当させたことが特徴である(図3)。WPS(Wi-Fi Protected Setup)やWPA-PSK、WPA2-PSKに対応したサプリカント処理のほか、TCP/IPスタック処理を、ベースバンドプロセッサが実行する。

図1 図2 ロームが開発したWi-Fiモジュール「BP3591」 

 「ホスト側に処理能力が低い8ビットマイコンが使われていたとしても、ホスト側の構成はそのままに、機器に無線通信機能を組み込める」(同社ブースの担当者)。対象機器は、センサーネットワーク機器や産業機器をはじめ、白物家電、ヘルスケア機器など。「ホスト側のリソース不足や開発コスト、開発期間などの観点で無線機能の搭載をあきらめていた機器に、ぜひ使ってもらいたい」(担当者)という。

 ベースバンドプロセッサには、IEEE802.11b/g/n準拠の自社開発した「BU1805GU」を使用した。このプロセッサ1つで、MAC層処理やベースバンド処理といった無線通信処理や、TCP/IPスタック処理やサプリカント処理を担っている。

図2 図2 ロームのWi-Fiモジュールを使ったデモの様子 カメラとWi-FiモジュールをRS-232Cインタフェースで接続した。撮影した画像は、アクセスポイントに伝送する。アクセスポイントにはWebサーバ機能が搭載されており、iPhoneなどのブラウザを使って画像を閲覧できる様子を見せていた。

 Wi-Fiモジュールとして、面実装タイプの「BP3560」、アンテナ内蔵タイプの「BP3591」を用意した。アンテナを内蔵することで、機器設計者の側での高周波設計を不要にした。国内の電波法認証を取得済みであるため、機器に組み込んですぐに使える。ホストインタフェースは、USB2.0または、SDIO、UART。動作温度範囲は、−40℃〜85℃。電源電圧は3.3V単一。

 2011年6月にサンプル出荷を開始する。サンプル価格は1000円。BP3560は2011年7月に、BP3591は2011年8月に量産を始める計画である。

図3図3 図3 ロームブースで展示していたパネル。図左は、Wi-Fiモジュールの外形寸法や構成。図右は、ソフトウェアスタックの比較図。

 今後、アクセスポイント機能とWi-Fi Direct機能を搭載する。アクセスポイント機能は、評価作業は済んでおり、2011年10月に正式版を提供する。Wi-Fi Direct機能については、2011年12月ころに評価版を提供する予定である。

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