Twitterのつぶやきを起点にした新連載「EETweets 岡村淳一のハイテクベンチャー七転八起」をスタートします。Twitterのつぶやきは140字と限られているため、多くを語ることはできません。そこで、幾つかのつぶやきをピックアップし、そのつぶやきの背景や想いを連載として執筆していただくことになりました。
「@trigence」のつぶやきを出発点に、企業経営のあれこれや、エレクトロニクス業界に思うこと、若い技術者へのメッセージを連載中!!→「EETweets」一覧
皆さんこんにちは、縁あって「EEtweets」という連載で小生のTwitterを使ったコラムを執筆することになりました。よろしくお願いします。タイトルに記載してある通り、ハイテクベンチャーを経営していますので、この連載が続くかどうか?は、当社のビジネスの発展と完全にリンクしています。来月突然に資金繰りに困り、コラムの執筆どころでは無くなってしまう可能性も、決してゼロではありません。ハラハラドキドキの連載であることを、まずご了解ください。
ハイテクベンチャーを始めるなんて特別な人がすることだと思う方が多いと想像しますが、本当にそうでしょうか?高度成長期のように経済が右肩上がり、人口ピラミッドも末広がりの社会構造の中では、大企業で活躍し、開発した技術で社会を潤すことで業績を伸ばし、そしてポストを増やしていくことができました。現在は、エンジニアとして長年関わった技術が、ある日突然に事業部ごと売却や廃止されることも珍しくない時代です。エンジニアとして自らが開発した技術を社会に還元することが、企業に所属するだけではかなわない時代になったのだと思います。
そういう時代では、独自技術を背景とした起業という選択肢は、特別な人だけが考えるものでは決してありません。全てのエンジニアが身近に考えなければならないキャリアパスのひとつだと思います。先行する米国のエンジニアの姿は、明日の我が身であり、既に始まっている現実なのです。
ハイテクベンチャーとして開発した技術を社会に還元するためには、多くの方との協力が必要です。企業の中では当然だったサポートの一つ一つを自分たちで作り上げる、もしくは他者に協力を仰ぐことが不可欠です。最近の言葉で言えば、”ソーシャルグラフ”を広げることがハイテクベンチャーの成功の絶対条件です。
ソーシャルグラフを広げるためには何が必要でしょう?まず出会いですよね。そのためには、開発者として実験室にこもっていてはダメです。アホと言われるのは覚悟で、いろんな人に会うことが必要です。そして自らの技術に対する「想い」を語る。
何事も「どこの馬の骨かも分からない自分の言うことを、赤の他人に信用させる」という前提に立たないといけません。昔の肩書やプライドは捨てましょう。相手に自分のことを「イケてる技術を持ったやつだ」と思わせないとならないのです。
その技術が大学との共同研究であれば、箔(はく)がつきます。特許を申請してあれば、信用が増します。これらは相手を信頼させるための必要条件ではありますが、十分条件ではないのです。口八丁手八丁、ハッタリも利かせて相手に「夢」を見させなければならない。エンジニアとして気が引けるかもしれないが、完全な技術を求めている人はいません。完全性よりも伸びシロがあるかどうか?その技術はビジネスとしても展開性があるのか?それが最も重要なのです。
ひとつの企業のエンジニアで幸せに一生を過ごせる時代は、過去のものになりつつあります。技術に自信があるなら、そして技術で社会に貢献したいなら、ハイテクベンチャーの選択肢はすぐそこにある道です。心配かって?そりゃ〜冒険だからね、失敗もあるだろうけど、仕事も出会いも楽しいですよ。
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