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汚泥から電気エネルギー、太陽熱とロボットで取り出すシステムが実用へエネルギー技術 バイオマス

廃水処理の副産物として生じる毒性の汚泥は、環境にとって有害なだけでなく、処分するのに高いコストがかかってしまう。その汚泥から太陽放射を利用して電気エネルギーを取り出すシステムを、イスラエルの新興企業が提案している。既に化学材料メーカーの工場における長期プロジェクトで稼働中だ。

» 2011年11月25日 12時35分 公開
[Sylvie Barak,EE Times]

 イスラエルの新興企業であるGlobal Recycling Projectsは、汚泥廃棄物を太陽熱を利用して処理することで、熱化学的にエネルギーと原料に変換するシステムに取り組んでいる。

 廃水処理の副産物として生じる毒性の汚泥は、環境にとって有害なだけでなく、処分するのに高いコストがかかってしまう。脱水や調整、貯蔵、運搬、廃棄といった工程が必要で、埋め立て処分するにしても焼却処分するにしても、環境負荷が低いとはいえない。

 そこでGlobal Recycling Projects(参考リンク:同社ホームページ)は、汚泥を従来よりも低い環境負荷で廃棄できる上に、処理工程においてガスを取り出し、そのガスで電気エネルギーを生成するタービンを駆動できる新しいシステムに取り組んでいる。

 このシステムはまず、太陽追尾式ミラー(ヘリオスタット)を使って、「太陽バイオマスリアクター」を取り付けたタワーに太陽光を集光する。このリアクターは、太陽光を受けるとガス化装置として機能し、汚泥をガス状に変質させる役割を果たす。このガスを使って、発電施設を駆動する仕組みだ。このシステムは、処理の全工程にわたって太陽のエネルギーを利用するため、徹頭徹尾「グリーン」であるという点が特に優れている。

図1 汚泥からエネルギーを作り出すGlobal Recycling Projectsのシステム

 Global Recycling ProjectsのCEO(最高経営責任者)を務めるBoaz Zadik氏は、「汚泥は毒性を有することが多いので、それを排出する施設が環境規制当局によって停止を命じられることなく稼働を続けるには、毒性の除去が極めて重要だ」と指摘する。

 同社はさらに、「Predator(プレデター)」と呼ぶ汚泥処理ロボットも開発した。リモコン操作で遠隔から作業員の安全を確保しつつ操作でき、1時間に200m3(立方メートル)の汚泥をくみ上げられるロボットだ。

図2 Global Recycling Projectsが開発した汚泥くみ上げロボット「Predator」

 現在のところ同社のシステムは、化学材料メーカーであるRotem Amfertのリン酸肥料プラントにおける長期プロジェクトで稼働しており、2基のユニットで8万トンの濃リン酸の汚泥を処理している。

 Global Recycling Projectsが提案するシステムは、この他にもIsrael Electric Company(イスラエル電力公社)や兵器メーカーのIsrael Military Industries、現地の複数の大企業に導入されているという。

 Zadik氏は、「汚泥はどこにでもある。当社はそれを確実に電力に変える技術に取り組んでいるのだ」と語っている。

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