NFCを利用したモバイル決済の市場は、大きく伸びることが予想されている。今後は、GoogleやAppleがより本格的に同市場に参入するので、この2社がシェアを拡大するとみられている。
モバイルウォレット(モバイル決済)の普及が進んでいる。近距離無線通信規格であるNFC(Near Field Communication)を利用したモバイルウォレットは、当面は携帯電話通信事業者(MNO)が中心となって提供する見通しだが、今後、2012〜2016年にかけてGoogleやAppleが同市場においてシェアを拡大していくとみられている。
米国の市場調査会社であるABI Researchでモバイルコマース/NFC部門のシニアアナリストを務めるMark Beccue氏は、「『Google Wallet』は2012年末までにヒットを確立し、2014年にはMNOが提供するモバイルウォレットと並んで世界的な支持を獲得すると予想される。2012年にはモバイルウォレット市場におけるMNOのシェアは75%に上る見通しだが、2016年にはこの割合が63%に落ち込むとみられる」という予測を示している。
Google Walletは、MNOがモバイルウォレットのインフラ開発や整備を進めていない市場でも成功すると期待されている。このため、中にはGoogleと提携することでベンチャー企業から資金提供の獲得を狙うMNOもあるという。
さらに、AppleもMNOからモバイルウォレットのシェアを奪うことになると予想される。Beccue氏は、「Appleは2012年にモバイルウォレット製品を発売するとみられる。AppleのMNOパートナーは、自社のモバイルウォレットを『iPhone』に搭載することを許可するはずだ」と述べている。
NFC対応のモバイルウォレットのユーザーは、2016年には5億9400万人に拡大すると予測される。まずは、MNOとモバイルOSメーカーがNFC対応の携帯電話機を数多く投入するとみられる米国や西ヨーロッパ、日本、韓国を中心に、著しい成長が予想される。
ABI Researchの調査報告書『モバイルウォレット戦略』は、NFCに対応したモバイルウォレットのユーザーの動向やモバイルクーポン、モバイルロイヤルティ/報奨金などの導入などに関する地域別の予測と、モバイルウォレットプロバイダの分析に関する情報を提供している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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