「iPhone 4S」の好調な売れ行きに支えられ、Appleのスマートフォン出荷数は前期比で大幅に増加した。ただし、アナリストの中には「2012年第1四半期は、この勢いを維持できない」とみる者もいる。
AppleとSamsung Electronicsは、スマートフォンの出荷台数についてトップの座を争い続けてきたが、2011年第4四半期は、Appleが首位を取り戻した。一方、Samsungは2011年にスマートフォンを最も多く出荷したメーカーとなった。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、Appleは、2011年第4四半期に3700万台のスマートフォンを出荷した。同年第2四半期の1700万台から117%の増加となり、スマートフォン市場のトップメーカー5社のうち、前期比の成長率は最も高い数値を記録した。
Samsungの2011年第4四半期におけるスマートフォン出荷台数は3600万台だったが、通年での出荷台数は9500万台に達し、Appleの9300万台をしのぐ結果となった。2010年におけるSamsungのスマートフォン出荷台数は、Appleの「iPhone」の出荷台数である4700万台を大きく下回る2500万台にとどまっていた。Samsungの2011年通年のスマートフォン出荷台数は、前年比278%という驚異的な飛躍を遂げたことになる。
AppleとSamsungの両社は、かつてスマートフォン市場の首位の座についていたNokiaを追い抜いた。
iSuppliの無線通信部門でシニアアナリストを務めるWayne Lam氏は、2011年第4四半期にAppleのスマートフォン出荷台数が急上昇した要因について、「2011年第4四半期に、消費者が待ち望んできた最新モデルの『iPhone 4S』が発売されたことで、それまで押さえつけられていたiPhone需要が一気に放たれた」と分析している。新型モデルが米国のホリデーシーズンに間に合うように発売されたことも、Appleが競合他社をしのいだ要因になったという。
Samsungが成功し続ける要因としては、さまざまな価格帯で多種多様な製品を展開していることが挙げられる。
一方、Samsungと競合する、Sony EricssonやMotorolaといったAndroid OSのライセンシー(ライセンス使用者)は、2011年第4四半期にSamsungほどの実績を挙げられなかった。Lam氏は、「Sony EricssonやMotorolaのスマートフォン出荷台数が伸び悩んだ背景には、スマートフォン市場が極めて込み入っているという状況がある。さまざまなライセンシー企業が、限られたマインドシェアや商品陳列棚のスペースをめぐって競争を繰り広げている」と述べる。
ただし、Appleがこのまま首位の座を維持できるかどうかについては、まだ不透明である。市場アナリストの中には、「iPhone 4Sの需要が既に落ち着いている今、2012年第1四半期もAppleの勢いが続くとは思えない」と予測する者もいる。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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