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MicronのCEOが事故死、エルピーダとの提携に暗雲かビジネスニュース 業界動向

Micronを長年率いてきたCEOの事故死は、業界に多大な影響を与える可能性がある。最も影響を受けると予想されているのが、現在、多額の負債を抱えながら再建に取り組んでいるエルピーダだ。

» 2012年02月07日 11時05分 公開
[Dylan McGrath,EE Times]

 Micron Technologyのチェアマン兼CEO(最高経営責任者)を務めるSteve Appleton氏が2012年2月3日、自身が操縦する小型飛行機の墜落事故によって米国アイダホ州ボイシ(Boise)で亡くなった。台湾の市場調査会社であるTrendForceは、「Micron Technologyは、エルピーダメモリと提携交渉を進めているとうわさされていた。しかし、Micronの経営に長年かかわってきたAppleton氏を失ったことで、この交渉への影響が懸念されている。両社の提携の遅れはメモリ業界にも重大な影響を及ぼし、業界の再編が必要となる可能性もある」と述べている。

 TrendForceは、2012年2月4日に発行した報告書で「メモリ業界は、Micron Technologyが早急にマネジメントチームを再編成して、今後の方向性を明確にするとともに、エルピーダとの提携交渉を進めることを期待している」と述べている。

Steve Appleton

 Appleton氏の後任には、プレジデント兼COO(最高執行責任者)のD. Mark Durcan氏が就任する。Durcan氏は同社の定款(ていかん)に基づき、Appleton氏の逝去直後からCEO代理を務めていた。

 エルピーダは先週、5四半期連続の赤字となることを明らかにした。同社は現在、多額の負債を抱えながら再建に取り組んでいる。業界ではここ数週間にわたり、同社がMicron Technologyの支援を受けて提携することで交渉を進めているといううわさが流れていた。しかし、エルピーダの社長である坂本幸雄氏は、「当社の経営が健全でなければ、提携しても意味がない」と述べ、このうわさを否定していた。

 Micron Technologyは2012年1月、Durcan氏が会計年度末となる2012年8月に引退すると発表していた。しかし、Appleton氏の急逝によりDurcan氏が後任の座に就いたことから、同社のスポークスマンは2012年2月4日、「Durcan氏の引退計画を無期限に延期する」として先の発表を修正した。

 TrendForceは、Durcan氏のCEO就任以前に発表した報告書で、「Micron Technologyとエルピーダの今後の動向が不透明であることは、台湾や米国、日本のDRAM業界の今後にも大きな影響を及ぼす」と述べていた。Durcan氏がCEOに就任した今、同氏の考えがエルピーダや他の企業に対する合併買収活動を左右することになる。Micron Technologyの動向は、DRAM業界だけでなく、その他の半導体業界にも大きく関わってくることになるだろう。

 Micron Technologyは2012年2月3日、「われわれは、Steve Appletonの突然の訃報に深い悲しみを覚えている。彼のリーダーシップを失ったことは、当社にとって大きな痛手だ。私は、マネジメントチームと協力して、Micron Technologyをさらに前進させられるよう引き続き尽力したい」というDurcan氏のコメントを発表した。

 DRAM業界は現在、非常に厳しい状態にあり、業界各社は平均販売価格(ASP:Average Selling Price)の低下による財務状況の悪化に苦しんでいる。「現在のように低迷が続くDRAM業界では、弱者が生き残るのは難しい」と見るアナリストもいる。

 TrendForceによると、Micron Technologyは2011年第3四半期のDRAM市場で11.8%のシェアを獲得し、ランキング第4位だったという。同社はNAND型フラッシュメモリも手掛けており、2011年第3四半期の同市場ランキングでも第4位で、11.3%のシェアを獲得している。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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