Nokiaが社運をかけているのはWindowsスマートフォンだけではない。アプリの分野におけるシェアも伸ばすべく、アプリ開発を専門に手掛ける部門を米国に立ち上げている。
Nokiaが、スマートフォン市場で巻き返しを図るため、Microsoftの「Windows Phone」を搭載したスマートフォンにかけているのは、これまでも繰り返し伝えられてきた。だがNokiaは、復活を狙う戦略の1つとして、Windowsスマートフォンに加え、アプリの開発にも力を入れている。
2007年、Nokiaは81億米ドルを投じて、米国の地図データのサプライヤであったNavteqを買収したが、これまで、NavteqがNokiaの事業戦略全体で重要な役割を担うことはほとんどなかった。だが、Nokiaには当初から確実な勝算があったようだ。
Nokiaは1年前に、アプリの開発を手掛けるSocial and Location Based Applications部門を、米マサチューセッツ州ボストンに立ち上げた。現在では55名が在籍しており、人材も募集しているという。
同部門で初めて開発したアプリが、Navteqのマッピングソフトウェアを利用した「Nokia Pulse」である。ユーザーの位置情報を用いて、友人などで構成された小人数のグループに向けてメッセージを自動配信するものだ。
Nokia Pulseは、自動的に写真をタグ付けし、ユーザーの位置情報とともにそれらをアップデートする。地図や写真、メッセージ、メールなどがグループに配信されるので、簡単な操作で、よりインタラクティブにユーザーの体験をシェアすることができるようになるという。
Nokiaは2011年秋にNokia Pulseのβ版の配信を開始したが、今後早い時期にiPhoneやAndroid端末向けにも対応するバージョンを開発するとしている。Social and Location Based Applications部門でアプリの開発を率いるBaşak Özer氏は、ボストンのビジネス誌のインタビューにおいて、「ソーシャルネットワーキング系のアプリを展開するには、あらゆるプラットフォームに対応していなければならない」と語った。
Özer氏は、「Nokiaは今、自社の可能性を再発見する時期にあると確信している」と述べている。「ボストンでNokiaブランドの確立を目指す。目標達成への近道として、まずは優秀な人材を確保したい。世界的なブランドであるNokiaの存在感と114億米ドル相当の資金が、後ろ盾となるよう願っている」(Özer氏)。一方で、人員削減を含むリストラ策を敢行しながら新たな雇用を求めるという、Nokiaの置かれた複雑な状況についても言及した。
Özer氏は以前、モバイル向けの広告事業を手掛ける米国のQuattro Wirelessや車載向けナビゲーションシステムメーカーであるドイツのTom Tomに在籍していた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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