スマート家電を発表する家電メーカーが増えている今、同市場は大きく発展しようとしている。ただし、価格が下がり、消費者が購入を積極的に検討するようになるまでには、あと数年かかるという。
スマート家電市場は、宅内エネルギー管理システム(HEMS)に関連する他の市場と同様、これまでのところ好調とはいえない。これは、多くのアナリストが予想していたことでもある。スマート家電は、試験的に発表されるだけの場合が多く、小売店で大量に売り出されてはいない。だが、今後は出荷台数が急速に伸び、2017年には2400万台を超えると見込まれている。
スマートメーターの普及やエネルギー価格の高騰といった要因の他、スマートグリッドの相互運用性があらゆる面で向上したことから、スマート家電の出荷台数が急増するのは時間の問題だといえる。一方で、スマート家電の価格競争が始まり、消費者の需要を刺激するようになるまでには、まだ2〜3年はかかるとみられている。
最近の展示会では、多くの大手家電メーカーがスマート家電の新製品を披露している。こうした動きは、スマート家電市場が今後大きく成長することを明示している。米国の市場調査会社ABI ResearchでホームオートメーションおよびM2M(Machine to Machine)分野のシニアアナリストを務めるCraig Foster氏は、「LG ElectronicsとSamsung Electronicsの両社は、ごく早い時期にスマート家電を市場に投入したメーカーであり、既に幅広い製品を展開している。その他、Whirlpool、BSH、Miele、Electroluxなどの大手家電メーカーも、1種類あるいはそれ以上のスマート家電を発表している」と述べた。
HEMSを備えた一般世帯の数は、2011年の推定2500万世帯だったが、2017年には3600万世帯まで増加する見込みだ。Foster氏は、「HEMS市場の黎明(れいめい)期には、HEMSの普及を先導していくのは主に電力会社であるという見方がほとんどだったが、実際には電力会社の動きは大方の予想よりかなり遅いようだ。そのため、同市場に参入する他のルートが数多く生み出されることになった」と述べている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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