Moorhead氏はA5Xについて、Imagination Technologies Group(IMG)のGPUコア「PowerVR Series6」(コードネーム「Rogue」)のクアッドコア版を採用しているとみる。「Appleにとって、開発基盤を混乱させることなく他のGPUコアベンダーに切り替えるのは不可能だったはずだ」(同氏)。
Appleはこの新しいアプリケーションプロセッサで、NVIDIAの最新アプリケーションプロセッサ「Tegra 3」に肩を並べたとみられるが、同氏は「問題はゲームを実際にプレイするときのパフォーマンスであり、その点ではNVIDIAの優位性を疑う者はいない」と話す。
NVIDIAのTegraは、最大12個のグラフィックスコアを使うことができる。また中国のHuawei Technologiesは、先週開催された「Mobile World Congress(MWC) 2012」(2012年2月27日〜3月1日)で、16個のグラフィックスコアを統合したモバイル向けアプリケーションプロセッサを発表した。しかし、The Linley GroupのプリンシプルアナリストでThe Microprocessor Report誌の編集者を務めるKevin Krewell氏によれば、これらのグラフィックスコアは各ベンダーが全く異なるアプローチをとっているため、互いを直接比較することは難しいという。
Krewell氏は、A5Xはほぼ間違いなく、Imagination Technologiesの「PowerVR SGX 543MP4」コアを使っているとみる。同氏の見解によれば、Rogueコアが登場するのは2012年の後半になるという。
Appleのこの新型iPadは、LTEに対応し、米国ではAT&TとVerizonがLTEによるサービスを提供する。Appleはさらに、RodgersとTelusの少なくとも2社の携帯電話事業者とLTE対応に取り組んでいる。Appleによれば、LTE利用時の下り方向のデータ伝送速度は最大73Mビット/秒に達するという。
Strategy AnalyticsのシニアアナリストであるSravan Kundojjala氏は、Appleの製品発表を受けて、新型iPadに部品を供給するベンダーについて次のようにコメントした。「どうやら、LTE対応ではQualcomm、グラフィックスではImagination Technologiesが大きなデザインウィンを獲得したようだ。LTEチップを供給しているのは、世界各国のネットワークへの対応力を考えると、ほぼQualcommとみていいだろう。Appleは、アプリケーションプロセッサとタブレットの競合他社に対して、再び高いハードルを設定したといえる」(同氏)。
マルチメディア性能について見ると、新型iPadは前述の通り2048×1536画素で精細度が264ppiと高いディスプレイを搭載し、1080pのビデオ録画をサポートする。500万画素のカメラも内蔵した。重量は662g(Wi-Fi/LTE両対応機)で、厚さは9.4 mm。通信機能と記憶容量の違いで6機種を用意しており、価格はWi-Fi対応の16Gバイト機が最も低く4万2800円、Wi-Fi/LTE両対応の64Gバイト機が最も高く6万9800円である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.