32ビットのプロセッサコアながら、性能当たりの消費電流は「現在市場にある8ビット/16ビットプロセッサの約1/3」(ARM)と低い。各種センサー機器や情報家電、白物家電などに通信機能を組み込んでネットワーク化する、いわゆる「モノのインターネット」用のマイコンに向ける。
英国のIPコアベンダーであるARM(アーム)は、「Cortex-Mシリーズ」のプロセッサコアを拡充し、消費電力当たりの処理性能(エネルギー効率)を高めた32ビットの新型コア「Cortex-M0+」を追加した。クロック周波数1MHz当たりの消費電流は9μA/MHzと低い(90nm世代の半導体製造技術で、低消費電力に最適化したプロセスを適用した場合)。これは、「現在提供されている8ビットまたは16ビットのプロセッサの約1/3に相当する」(同社)という。
同社はこの新型コアを、さまざまな機器に通信機能を組み込んでネットワーク化する、いわゆる「Internet of Things(モノのインターネット)」と呼ばれる領域のアプリケーションに向けた、低消費電力マイコンのプロセッサコアとして普及させたい考えだ。具体的には、各種センサー機器の他、情報家電や白物家電、医療監視機器、スマートメーター、照明器具などに搭載されるマイコンがターゲットになる。「Internet of Thingsのアプリケーションを実現するには、現行の8ビット/16ビットマイコンではインテリジェンスと機能性が足りない。この新型コアを使えば、Internet of Thingsのメリットを引き出せる」(同社)。
ARMは既に8ビット/16ビットコアの置き換えを狙った低消費電力の32ビットコア「Cortex-M0」を半導体ベンダー各社にライセンス供与しており、各社がマイコンを製品化済みである(参考記事その1、参考記事その2)。今回のCortex-M0+は、「Cortex-M0の成功を踏まえつつ、数多くの新たな特長を追加し、ゼロから設計した」(同社)という。具体的には、GPIOや周辺回路へのアクセスを高速化するシングルサイクルI/Oを採用し、デバッグ/トレース機能を改良した他、2段パイプラインを導入し命令当たりのサイクル数(CPI:Cycles per Instruction)を削減したり、フラッシュメモリへのアクセスを高速化するといった改善を施した。
なお、Cortex-M0+のライセンス供与を早期に受けた半導体ベンダーとしては、Freescale SemiconductorとNXP Semiconductorsが公表されている。
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