ARMは、「Cortex-A15」と「Cortex-A7」を集積したチップを試作し、big.LITTLE処理の効果について検証を行った。その結果、同処理の適用により50%の電力削減効果が得られることが確認できたという。業界関係者は、big.LITTLE処理に対して、「Intelなどのベンダーも導入を検討すべき優れた技術」との評価を与えている。
英ARMは、開発を進めている「big.LITTLE処理」の効果を検証するために、同社のプロセッサコア「Cortex-A15」と「Cortex-A7」を集積したテストチップを試作した。その結果、同処理を適用することにより、処理性能を犠牲にすることなく、消費電力を50%削減できることが確認できたという。また同社は、大型コアと小型コアを組み合わせたbig.LITTLE処理を実現するためのソフトウェアのロードマップを公開した。
ARMによれば、現在、半導体メーカー数社が、big.LITTLE処理を採用したSoC(System on Chip)の開発に取り組んでいるという。実際、韓国Samsung Electronicsは、big.LITTLE処理を採用したSoCのサンプル出荷を2012年末までに開始する予定だ。また、あるアナリストは、「big.LITTLE処理は、米Intelなど、ARM以外のプロセッサメーカーにとっても、導入を検討するに値する優れた技術だ」とコメントしている。
2012年10月30日〜11月1日(現地時間)、米カリフォルニア州サンタクララでARM最大の開発者向けイベント「ARM TechCon 2012」が開催された。このイベントにおいて、ARMでプロダクトマネジャを務めるBrian Jeff氏は、「big.LITTLE処理は、これまでは『将来性の高い技術』という位置付けだった。しかし、今後は『低消費電力化を図ったあらゆるシステムに遍在する技術』という位置付けに変わっていくだろう」と語った。
その上で同氏は、「big.LITTLE処理には、まだ最適化すべき点が数多く残っている。とはいえ、今のところはうまく機能していると言ってよい。2011年に進捗状況についての予想を行っていたのだが、現時点ではそれをわずかに上回る結果が得られている。当社は、ここまでの開発成果について大変満足している」と付け加えた。
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