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Intelの野望は「リビングルームへの進出」、インターネットテレビサービス事業を展開かビジネスニュース 企業動向

Intelは、セットトップボックス(STB)だけでなく、インターネットテレビサービス事業の展開も視野に入れているようだ。

» 2013年02月19日 11時20分 公開
[Junko Yoshida,EE Times]

 Intelは、「米国中のリビングルームに乗り込む」という野心をむき出しにしている。だが、同社の動向に注目していれば、これは特に驚くようなことではない。Intelはかねてより、「Google TVのようなインターネットテレビ向けのプラットフォームを投入するだろう」とうわさされていた。だが、IntelのMedia部門を統括するErik Huggers氏が2013年2月に明らかにした新しい計画は、こうした予想を超えるものだった。

 Intelの計画には、エンドユーザー向けのセットトップボックス(STB)だけでなく、インターネットテレビサービス事業も含まれていた。Huggers氏は、「2013年中にインターネットベースのテレビサービスとSTBを投入したい。同サービスは、テレビ番組のライブ放送とキャッチアップ放送(テレビ放映後の番組をインターネット経由で配信するサービス)の両方を配信し、シームレスな視聴体験を提供する」と述べている。

 Huggers氏は、米国で開催されたメディア事業関連のカンファレンスでこの計画を発表したが、同サービスの名称は明らかにせず、「理想的なテレビ体験」と呼んで、次のように説明した。「インターネットテレビを見るには、例えば、Roku*1)の『Streaming Stick』をセットしたり、STBのケーブルを接続したり、録画した番組を検索するためにレコーダの電源を入れたりと、さまざまな作業が発生する。当社のインターネットテレビサービスは、1つのSTBでこれら全ての機能を実現できるため、はるかに扱いやすくなる。このようなサービスは、まだ誰も実現していない」。

*1)Rokuは、ストリーミングデバイスを手掛ける米国のメーカー。テレビのポートに差し込むだけでストリーミング機能を追加できる「Streaming Stick」という商品を販売している(関連記事:テレビ業界に新たな脅威、挿し込むだけでテレビを“スマート化”するスティック)。

 同氏は、「テレビ放送が、無料放送からケーブルテレビや衛星放送、通信会社による配信と発展してきたように、当社の新しいインターネットテレビサービスが、“新たな配信プラットフォーム”として受け入れられることを望んでいる」と語った。

 Huggers氏は、「キャッチアップ放送は、英国のBBCが提供するインターネット経由のテレビ/ラジオ視聴サービス『iPlayer』に似ている」と説明している。iPlayerは、レコーダに録画しなくても、BBCが放送した過去7日間のテレビ/ラジオ番組を閲覧できるサービスである。これらの番組はクラウドに保存され、無料でオンデマンド配信される。Huggers氏は、前職のBBCで同サービスの開発を率いていた。

写真はイメージです

 テレビ番組の視聴形態は、“マルチプラットフォーム化”が急速に進んでいる。テレビだけでなく、PCやタブレット端末で視聴するユーザーが増えているということだ。米国の市場調査会社であるEnvisioneering Groupでディレクタを務めるRick Doherty氏は、「そうした状況もあって、Intelはインターネットテレビサービスと、それに対応するSTBの開発を加速させている」と述べる。

 Huggers氏は、「ブロードバンドが普及し、『H.264』の後続規格である『HEVC(High Efficiency Video Coding)』で、H.264よりも50%も高効率な映像圧縮を実現できるようになった。今こそが、同サービスの投入に適切な時期だと確信している」と主張した。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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