タブレット端末を使ってテレビや動画を視聴するユーザーは、2011年に比べて2倍以上に増加している。このような傾向があるにもかかわらず、テレビの買い替えサイクルは短くなっているという。
Appleの「iPad」やAndroidベースのタブレット端末を使ってテレビ番組や動画を視聴するユーザーが増えている。米国の市場調査会社であるNPD DisplaySearchが14の国と地域でテレビの買い替えに関する消費者動向を調査したリポート「Global TV Replacement Study」によると、その数は前年と比べて2倍以上に増えているという。
タブレット端末によるテレビ番組や動画の視聴が増えたことと、タブレット端末の普及は、密接に関連している。インターネットインフラの向上により、テレビの代わりにタブレット端末でコンテンツを視聴できる機会が増えた。これが、タブレット端末の普及が進んだ大きな要因だと考えられる。
タブレット端末の普及が最も加速しているのはトルコである。タブレット端末の使用率は、2011年は3.1%だったが、2012年には16.5%に達すると予想されている。ドイツでもタブレット端末市場の成長は著しく、2012年の成長率は前年の4倍近くに上るとみられる。フランスと米国における成長率は、前年の3倍以上になる見通しだ。
タブレット端末だけでなく、ノートPCや携帯電話機などでテレビ番組や動画を視聴するユーザーも増えている。NPD DisplaySearchの調査では、回答者の70%以上がタブレット端末やノートPC、スマートフォン、MP3プレーヤ、デスクトップPCでもテレビ番組や動画を視聴していることが明らかになった。
米国や英国、ドイツなどの成熟市場では、タブレット端末やノートPCでテレビ番組や動画を視聴する傾向が強い。一方、中国やインドネシア、ロシア、トルコといった新興市場では、無線ネットワークの普及率が比較的高いこともあり、スマートフォンによる視聴が多い。
NPD DisplaySearchで消費者動向の調査ディレクタを務めるRiddhi Patel氏は、「国や地域によって傾向は異なるものの、世界的に見て、モバイル機器でテレビ番組や動画を視聴する傾向が強まっていることは明らかだ。モバイル機器は、テレビ番組/動画コンテンツを視聴する新たな手段となっている」と述べている。
このように、テレビに代わってタブレット端末などでコンテンツを視聴する傾向が強まっているにもかかわらず、テレビの買い替えサイクルは、調査対象となったすべての国や地域で2011年よりも2012年の方が短くなっている。ユーザーは高精細(HD)かつ大画面のテレビを求めているようだ。これらのニーズを全て備えているのが薄型テレビである。世界中のユーザーのニーズや好みに対応したさまざまなサイズの薄型テレビが、以前よりも低価格で購入できるようになった。薄型テレビの世界市場では、LCD(液晶ディスプレイ)が引き続きシェアを占めるとみられている。
「Global TV Replacement Study」は、テレビの買い替え動向の他、ブラウン管テレビから薄型テレビへの買い替え理由についてもまとめている。同リポートは、1万4000人以上のテレビ所有者を対象に調査した結果を基に、国や地域別に分析した情報を提供している。
「Global TV Replacement Study」の概要は、NPD DisplaySearchのWebサイトに掲載されている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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