Samsung Electronicsが第5世代(5G)向けの通信技術を開発したと発表した。ミリ波帯を使用し、基地局当たり数十Gビット/秒(Gbps)のデータ転送速度を実現できると見込んでいる。
Samsung Electronicsは、セルラー通信向けKa帯のミリ波を使い、「アダプティブアレイトランシーバ」と呼ばれる技術の開発に成功したと発表した。同社によると、この新技術は、現行の4G(第4世代)ネットワークの数百倍の速度でデータ転送が可能であり、5G(第5世代)移動体通信システムにおいて中核を成す技術になるという。
同社は、この5G技術を2020年までに商用化したい考えだ。基地局当たり数十Gビット/秒(Gbps)のデータ転送速度を実現できる見込みだという。
5Gに関しては、今のところまだ正式な規格が定められていない。全世界の多くの地域では、4G対応機器がようやく普及し始めたという状況だ。
高速の5Gセルラーネットワークを実用化するためには、より高帯域の周波数が必要になる。例えるならば、水量が増加すれば、もっと太い水道管が必要になるのと同じことだ。Samsungによると、これまでは、ミリ波帯を長距離のデータ転送に使用するには、電波特性が不向きであるため限界があると考えられていたという。
しかし、今回のアダプティブアレイトランシーバ技術では、周波数28GHzのミリ波帯を利用し、最長2kmの距離で、最大1.056Gbpsの通信速度を達成した。ミリ波帯は、現在の移動体通信に使われる数百MHzから数GHzという周波数帯域に比べてはるかに高い。同社のアダプティブアレイトランシーバ技術では、64個のアンテナ素子を使用することにより、ミリ波帯における電波の損失を抑えることに成功したという。
Samsungは、今回の新技術によって、世界中で5G技術の実現に向けた研究が推進されるとともに、国際的なアライアンスの結成が進み、関連するモバイルブロードバンドサービスがタイムリーに商用化されていくことを期待しているという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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