ラムバスは、新しい事業戦略を展開する。これまで中心となってきた高速メモリインタフェースIPの開発およびその技術ライセンスビジネスに加えて、開発した技術を自ら製品化していく事業にも新たに取り組んでいく考えだ。
Rambusの日本法人ラムバスは、新しい事業戦略を展開する。これまで中心となってきた高速メモリインタフェースIPの開発およびその技術ライセンスビジネスに加えて、開発した技術を自ら製品化していく事業にも新たに取り組む。2013年6月7日に東京都内で開催した記者説明会では、新規事業となるLED電球やイメージセンサー、半導体IC向けセキュリティなどについて、その概要を語った。
ラムバスで上級副社長兼最高マーケティング責任者を務めるJerome Nadel氏は、「パテントライセンスは当社のコアビジネスである。今後はそれに加えて技術ライセンスの事業や、当社で開発した技術を製品やサービスに落とし込んだ事業も展開していく」と語り、ラムバスが目指す新しい事業戦略について、その概要を説明した。「メモリ&インタフェース」、「セキュリティ&暗号」、「イメージセンサー」、「照明&ディスプレイ」の各事業ユニットは、ラムバスラボを研究開発のベースとし、他社との提携や協業も含めて、開発のシナジー効果を高めていく。
続けて、ラムバスでエンタープライズソリューション部門の副社長を務めるSteven Woo氏が、注力分野におけるコア技術について、その概略を紹介した。まず、メモリ&インタフェースに関連して、「これからのシステムをけん引していくのは『モバイル』と『クラウド』であり、世界で取り扱うデータ容量は2011年から2021年までに44倍に膨れ上がる」と述べた。つまり、大規模なデータを高速に処理するための新たなメモリインタフェースが必要になる、ということだ。こうした要求に対してラムバスは「R+シリーズ」を2013年1月に発表した。その第1弾となる「R+LPDDR3」は、データレートが最大3200Mビット/秒に対応するなど、現行のLPDDR3に比べて2倍の性能となる。消費電力もこれまでのDRAMに比べて30%低減できるという。
半導体製品向けのセキュリティ&暗号技術は2つ用意している。DPA(Differential Power Analysis)とSoC IPコアの「CryptoFirewall」である。DPAはスマートフォンなどを使ってショッピングなどを行う際に、トランザクション情報を暗号化するための技術である。この技術はスマートカードやテレビのSTBにも応用することが可能である。一方、CryptoFirewall技術は、放送コンテンツなどを保護するための技術である。この技術を使うとコンテンツへのアクセスを制限し、不正な使用を防止することができる。これ以外の用途として同社が期待しているのがプリンタや携帯電話とその部品向けである。Woo氏は、「プリンタのインクカートリッジや携帯電話の電池にこの技術を活用すれば、装着された部品が正規品かどうかを判別することができる」という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.