原田氏は、「さまざまな通信規格の中から、業界標準となった通信の多くは、インフラ系で採用されたことで市場を獲得し、業界標準となっている」と、今回の東京電力での採用決定の意義を説明する。そして、「ホームゲートウェイにWi-SUNが搭載されれば、ホームゲートウェイにつながるテレビやエアコンなどの家電、照明といった機器にもWi-SUNは搭載されるだろう」と加える。
ホームゲートウェイと家電の通信方式としては、既に家電側への搭載が始まっているWi-Fiとの競合が予想されるが、「ホームゲートウェイがWi-FiとWi-SUNの両方に対応するかどうかはメーカーの判断だが、コスト競争が激しい中で、必ず搭載しなければならないWi-SUNをどうにか活用したいという流れになるはず」とする。Wi-SUNの実装コストについては、「Wi-SUNモジュールの価格は、量産が始まっていない現状でも2000〜4000円。東京電力への納入が14年4月から始まることもあり、急速な勢いでWi-SUN用ICの高集積化、モジュールの小型化も進んでいる。おそらく、14年4月時点でのモジュール単価は現状の1/4程度まで下がり、1000円を切るのは間違いない。その後もさらに価格は低下するだろう」とし、コスト面でもWi-Fiなどと対抗できる考えを示す。
また、市場規模が見込める家電へのWi-SUN普及の後押しとして、家電など民生機器のハブになりつつあるスマートフォン/タブレット端末でのWi-SUN搭載も見込んでいる。「既にエネルギーの見える化を実現するための端末として、ホームゲートウェイとWi-SUNで接続するタブレット端末の開発が進んでいる。Wi-SUNは、変調方式などが単純で、回路は極めてシンプル。Wi-Fiなど他の無線と同一ICにWi-SUN用回路を実装することも問題なく行える。1年半から2年先には、Wi-SUN対応のスマートフォンが登場する。スマートフォン/タブレット端末にWi-SUNが搭載された後、多くの家電にWi-SUNが搭載されるようになるだろう」とした。
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