多くの半導体メーカーが注目しているのが、医療分野だ。体内に埋め込んで心拍数や脳波などの生体情報を読み取り、外部の端末と通信するような機器の開発が進んでいる。こうした機器は容易には電池を交換できないので、環境発電(エネルギーハーベスティング)技術や、超低消費電力の電子機器への需要がさらに高まるだろう。
これに伴い、BAN(Body Area Network)の役割が大きくなるかもしれない。BANは2012年に、策定開始から5年を経てようやく正式に発行されている。古くからある技術だが、これまでは普及するきっかけとなる用途をうまく見いだせていなかった。
その他、人工網膜、人工内耳、脳波を解析して機器を制御するBMI(Brain Machine Interface)や、非常に薄くした柔らかいSiチップを皮膚に張りつけてデータを収集するといった技術も、最先端の半導体技術によってよりいっそう進歩しそうだ。
LTEに続く、より本格的な第4世代携帯電話通信方式(4G)である「LTE-Advanced」が、ようやく実用化段階に至ったところだが、早くも第5世代携帯電話通信方式(5G)に向けた仕様策定、技術開発が活発化してきている。
まだまだ仕様策定段階で、どのような技術が用いられ、どれぐらいの通信速度が実現されるかなどは、分からない。ただ、ミリ波など従来の3G、4Gが使用した周波数よりも大幅に高い周波数帯を使った広帯域通信も行う見込みで、その通信速度は、LTEの100〜1000倍ともされる。いずれにせよ、これまで以上に高度なRFデバイスが必要になることは明白。RFデバイス、通信装置の開発に電子計測器なども含めて、5G実現に向けた製品、技術開発が加速することになるだろう。
ドコモが目指す“5G”の世界、通信容量はLTEの1400倍に?
4Kなど高解像度のディスプレイの他、曲面ディスプレイも2014年のキーワードになりそうだ。
CEA(米家電協会)は、「3Dテレビとは異なり、4Kテレビ市場は成長する」という見解を発表している。CEAは、米国では2014年における4Kテレビの出荷台数は48万5000台と、2013年比で約10倍になると予想している。
曲面ディスプレイ市場は今後、年平均成長率53%で成長し続け、2023年には270億米ドル規模に達すると予測されている。LG電子やサムスン電子は、曲面ディスプレイを採用したテレビやスマートフォンを既に市場に投入している。2014年1月3日には米国のコーニングが曲面ディスプレイ向けのゴリラガラス(Gorilla Glass)の生産準備が整ったと発表した。
有機ELディスプレイは、2012年は大型有機ELテレビの量産が始まるかどうかが話題になっていたが、歩留まりの向上には韓国メーカーも苦戦を強いられている。今後は、高解像度化やフレキシブルディスプレイにも力点が置かれそうだ。LG電子は、米国ラスベガスで開催中の「2014 International CES」(2014年1月7〜10日)で、画面の曲率(カーブの度合い)を変えられる、文字通り“フレキシブル”な77型有機ELテレビを発表している。
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