パワー半導体は、シリコン(Si)に代わるSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)といった半導体材料を用いた次世代パワー半導体が普及期に入ろうとしている。SiCを使ったダイオードに続いて、SiC、GaNを用いたトランジスタもさまざまな半導体メーカーが製品化し、量産が始まった。SiCは、エアコンや産業機器用インバータ、鉄道車両に採用され、GaNもサーバの電源用途を中心に実用化される。
SiC/GaNともに、Siデバイスに比べ電力損失を1/10以下に抑えられるとされ、性能面では、Siを置き換える能力は十二分にある。ただ、価格はSiに比べ、10倍以上とされる。本格的な普及のためには、Siの価格にどれだけ近づけるかが、鍵になる。6〜8インチの大口径ウエハー生産技術など、2014年はこれまで以上にSiC/GaNの低価格化に向けた技術開発が活発化するだろう。また、SiC/GaNと同様の特性を持ちながら生産性に優れる酸化ガリウムなど第3の材料を用いたパワー半導体開発も注目される。
SiCデバイス価格、2016年度にSi比1.5〜2倍に――ローム、6インチウエハー/トレンチ構造導入で
SiCやGaNよりもワイドギャップ! 酸化ガリウムMOSFETを開発
IoT(モノのインターネット)、自動運転車、医療エレクトロニクスなど将来が有望視されるアプリケーションに共通するキーテクノロジーが「センサー」だ。あらゆる事象を機器が把握するにはセンサーが必要であり、機器やシステムの進化に比例してセンサーが使われる数は増え、その増加ペースは加速している。
米国では、センサーメーカーなどが集まり、現在の100倍ともされる年間1兆個のセンサーを世界で普及させることなどを目的にしたプロジェクト「Trillion Sensors Universe」が発足するなど、その期待値は大きい。
こうしたセンサーの普及拡大を可能にした技術の1つが、小型、低消費電力のセンサーを実現するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)だ。MEMSにより、圧力センサーや湿度センサーなどの環境センサー、シリコンマイク、加速度センサーやジャイロスコープ(角速度センサー)などの慣性センサーが実現され、それぞれのセンサーの応用用途を格段に増やした。今後も、さらなるMEMSの進化で体内埋め込みも可能な超小型、低消費電力のセンサーの登場が見込まれる。
「医療」の進化はエレクトロニクスが引っ張る! MEMSセンサー/USB 3.0などを提案
次世代パワー半導体の材料であるGaNとSiCの他、炭素系の材料にも引き続き注目が集まりそうだ。
炭素系では、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブの他、NECが2013年から販売を開始しているカーボンナノホーンがある。カーボンナノホーンは、主に6員環で構成された筒状の物質だが、先端は、5員環が混じり円すい状に閉じた構造をしている。電子部品から医療まで、幅広い応用が期待されている材料だ。
さらに、米大学は、Si(シリコン)に比べて電子移動度が10倍高いというシート状のGe(ゲルマニウム)の生成に成功した。また、超伝導性を示す、Sn(スズ)ベースの新しい材料が発見されている。
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