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バスが人も情報も運ぶ、NICTの端末間通信システムWTP2014 / ワイヤレスジャパン2014

情報通信研究機構(以下、NICT)は、中央制御局を用いずに端末間だけで通信を行えるネットワークシステムを紹介した。端末は、互いの通信範囲に入ると自動的にネットワークを形成して通信を行う。東京都港区や京都府精華町で、サイネージ端末を搭載したバスを用いて実証実験が行われている。

» 2014年06月12日 15時06分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 情報通信研究機構(以下、NICT)は「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2014」(WTP2014、2014年5月28〜30日)で、ハブやアクセスポイントなどの中央制御局を経由せず、端末間だけで通信を行うネットワークシステムを展示した。中央制御局が不要なので、端末の故障や停止、災害に強い通信ネットワークを構築することが可能だ。

 端末には、屋内サイネージ端末、バス内サイネージ端末、屋上設置型端末、携帯端末(携帯電話機、タブレット端末)、センサーを搭載した端末(センサー端末)などがある。これらの端末は、互いの通信範囲に入ると自動的にネットワークを形成し、データ通信を行う。広告、地域のイベント情報、バスの接近情報、災害情報などを送ることができる。端末間の通信は、920MHz帯を使用するARIB STD-T108と、IEEE 802.15.4gに準拠している。

左=端末の一例。右=端末間通信ネットワークの概念図(クリックで拡大)

 例えば、バス内サイネージ端末にイベント情報を入力しておく。するとバスの乗客にその情報が配信される他、バスの周辺にある屋上設置型端末や屋内サイネージにも同じように送信される。バスが移動するにつれて、情報が配信される端末は変わっていく。バス停付近に端末を設置すれば、バスの接近情報も知らせることができる。バスが、人だけでなく情報も運ぶようなイメージだ。NICTの担当者は、「テキストベースのコンテンツを広範囲に送信することができるので、広告や地域に基づいた情報などの拡散に向いている。反対に、速報などの配信や、動画やアニメーションなどのリッチコンテンツの配信には向かない」と述べている。

 今回の端末間通信システムは、東京都港区と京都府精華町で運行している「お台場レインボーバス」と「精華くるりんバス」で実証実験を行っている。バス内サイネージ端末と、バスの運行ルート周辺の端末を使って、行政サービスや地域イベントなどの情報を配信している。

「お台場レインボーバス」を使って実証実験が行われている。バス内サイネージの通信範囲にある端末には、このように情報が送られる(クリックで拡大)

 NICTは実証実験の結果を活用し、端末間通信規格「Peer Aware Communications(IEEE 802.15.8)」の標準化にも、積極的に貢献していきたいとしている。


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