IBMは、7nm以降の半導体微細加工技術と、シリコンに代わる新材料によるチップデバイス技術の開発を主とした研究開発を実施すると発表した。今後、5年間で30億米ドル(約3000億円)を投資するという。
IBMは、7nm以降の半導体微細加工技術と、シリコンに代わる新材料によるチップデバイス技術の開発を主とした研究開発を実施すると発表した。今後、5年間で30億米ドル(約3000億円)を投資するという。
今回、実施を決めた半導体チップデバイス関連技術に関する研究開発プログラムは、主に2つのプログラムで構成される。1つは、7nm以降の微細加工技術の確立を目指すもの。もう1つは、物理的な課題を多く抱えるシリコンに代わるデバイス向けの新たな材料に関するもの。IBMは、今後数年間で、14nmや10nmへと半導体加工技術が微細化されるとの見通しを示しつつ、「10年後に7nmあるいはそれ以降に微細化するためには、半導体のアーキテクチャならびに製造向けの新しいツールと手法にかなりの投資とイノベーションが必要になる」とし、10年後の7nmプロセス技術確立を見据えて研究開発を行う見込みだ。
シリコンを置き換える新材料として、「III-V族半導体」やカーボンナノチューブ、グラフェンなどを候補に開発を進める方針。また次世代低電力トランジスタとして、トンネル電界効果トランジスタ(TFET)の研究を行う。TFETは、トランジスタ中を流れる電流をドライブするためにバンド間トンネル現象の量子力学効果を応用するもので、相補的CMOSトランジスタと比べて100倍の電力低減を達成でき、「CMOSテクノロジーとTFETテクノロジーを融合させることにより、低電力集積回路を向上させることができる」(IBM)とする。その他、光配線技術や新メモリ技術、量子コンピューティング/コグニティブ・コンピューティングを支えるアーキテクチャの研究開発も行う。
これらの研究開発は、米国ニューヨーク州アルバニーとヨークタウン、カリフォルニア州アルマデン、欧州のIBMの研究員とエンジニアが従事するとしている。
IBMは、2014年に各地の人員を整理するなど業績が芳しくなく、半導体事業では製造工場の売却がうわさされる状況での、大型投資の決定となった。
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