スマートフォンメーカーとして、Samsung Electronics(サムスン電子)、Appleに次ぐ第3位の位置に付いたXiaomi(シャオミ)。世界の大手メーカーで経験を積んだエンジニアたちが集結して立ち上げた中国企業は、先進国におけるスマートフォン市場の成熟に伴い、成長の一途にある。
中国のXiaomi(シャオミ)は2014年第3四半期、世界第3位のスマートフォンメーカーに急成長した(関連記事:サムスンのみ出荷数減少し続落――2014年7〜9月スマホ世界シェア)。これ自体は驚くことではないが、これをきっかけに世界スマートフォン市場の支配図が変化した背景や理由を考察してみたいと思う。
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【その1】米国と欧州のスマートフォン市場の重要性が低下している。米国や欧州などの先進地域では、成長の勢いや出荷台数が減少傾向にある。Xiaomiは、Samsung Electronics(サムスン電子)、Appleに続く第3位にランクインしたが、米国や欧州市場にはまだ参入していない。
【その2】世界スマートフォン市場の勝者は、模倣品やAppleの「iPhone」の偽造品などを売る中国のノーブランドのベンダー(ホワイトボックス)ではない。中国のホワイトボックス企業のパワーも否定はできないが、中国の国内市場をリードしているのはXiaomiのようなブランドのスマートフォンだ。
【その3】Xiaomiは中国人が誇りに思うようなスター性を備えている。同社には、中国全土に活気と称賛を巻き起こすパワーがある。同社は今後、世界的な注目を集めると予想される。その影響力は中国のエレクトロニクス市場全体に及び、国内産業の強化につながるだろう。これと同様のことがかつての日本でも見られた。ソニーの台頭によって、国内エレクトロニクスメーカー各社がソニーのライバルやサプライヤになることを目指して奮闘した結果、日本に数多くの優れたエレクトロクスメーカーが誕生した。
【その4】世界的なスマートフォン競争では、スマートフォンのコストが極めて重要である。だが、より重要なのは、品質を犠牲にすることなく(製品や経営)コストをいかに削減するかだ。Appleは低価格スマートフォンのベンダーではないが、iPhoneの生産数を制限することでコストを抑えている。一方、Samsungは、膨大な数を販売することでコストの低減を図っている。Xiaomiは、小売販売は行わずオンラインでのみ販売する戦略で、経営コストを抑えている。製品サイクルが長いことも、同社のコスト削減に貢献している。
【その5】スマートフォン市場での競争に終わりはない。成長の機会は誰にでも残されている。米国の市場調査会社であるIDCで携帯電話機部門の調査マネージャーを務めるRamon Llamas氏は、「2014年第3四半期のスマートフォン出荷台数が記録的に伸びたのは、ベンダー各社がSamsungやAppleなどの市場リーダーに追い付くために努力した結果である。この両社に続くXiaomiとLenovo、LG Electronicsの3社は、まったく異なる戦略を実施して、大きな成長を遂げた」と説明している。
Lenovoはローエンドスマートフォン、Xiaomiはハイエンドスマートフォン、LG Electronicsはその両方で売り上げを伸ばした。Llamas氏は、「2014年第3四半期は、この他にも数多くのベンダーが同様の成果を達成した」と述べている。
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