ソニーは、2017年会計年度までのスマートフォン市場に関する予測として、出荷数量ベースでは、ローエンドモデルが成長をけん引していくとみている。一方、売上高ベースでは、ハイエンドモデルが50%を超える売上高シェアを維持していくと予測する。
中国のスマートフォン市場は、欧州や北米、日本などの市場のこれまでの傾向と同様に、いずれ頭打ちになるとみられる。ソニーは、今後の成長が見込まれるスマートフォン市場として、アジア太平洋地域を挙げる。
ソニーのモバイル事業部門が抱えている問題の中には、社内の問題もある。同事業部門は、組織の冗長性が高く、販売活動の対象地域が、日本や英国をはじめ世界13カ国に及んでいることから、これらを厳選してスリム化する必要がある。
十時氏によると、ソニーの競合企業各社は、スマートフォンの開発コストが増大したことを受け、提供する製品の種類を半分に削減したという。一方、決断が遅かったソニーは、同じ期間内に約30%しか製品モデル数を減らすことができず、さらなるリソースの損失を引き起こす結果となった。
これまでスマートフォン市場の売上高は、加入契約と共にスマートフォン本体の販売も行う通信事業者によって支えられてきた。しかし、業界では現在、スタンドアロンのスマートフォンに向けたオープン市場の販売チャネルが拡大し始めている。
ソニーは、オープン市場の売上高比率について、特に低価格帯モデルの割合が増大していくと予測する。ただし、ハイエンド品の売上高については、今後も通信事業者によってけん引されるとみているようだ。
ソニーは、独自の分析結果に基づき、以下の4つの主要方針を発表した。今後、中期的なモバイル事業戦略として実施していくという。
こうした事業方針の内容は特に目を引くようなものはなく、“特効薬”にはとても見えない。
それよりも驚くべきは、ソニーがその実現に向けた一歩をまだ踏み出していないという点だ。3カ年計画を実行する上で鍵を握る十時氏に注目が集まっている。
さらに、まだ答えが見つからない問題もいくつか残る。例えば、ソニーが低/中価格帯の製品市場にどう対応していくのか、また、今後3年の間にハイエンドスマートフォン市場で競争できるようになるのかなどだ。さらに、ソニーがどのようなIoT戦略を思い描いているのかも不明である。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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