地球温暖化をもたらす温室効果ガスの中で、最も“敵視”されているものが二酸化炭素(CO2)です。今回、CO2を数字で見てみたところ、意外な“モノ”がCO2を大量に排出していることが分かりました。
「環境問題」とは結局何なのか(前編)で出てきた、私の嫁さんのテーゼ『化石燃料による「全人類窒息死」の可能性』について、真面目に調べてみました。要するに、ガソリンや灯油を燃やしまくって、地球上の酸素がなくなってしまう可能性を計算してみたのです。
まず、大気中の気体の構成比率を調べてみました。水分を追い払った乾燥空気の、上位4位が以下の通りです。
順位 | 成分 | 体積比(%) |
---|---|---|
#1 | 窒素(N2) | 78.0840 |
#2 | 酸素(O2) | 20.9476 |
#3 | アルゴン(Ar) | 0.93400 |
#4 | 二酸化炭素(CO2) | 0.0390 |
「何だ、これ?」
上記の表を見て、私はあぜんとしました。二酸化炭素の比率が、驚く程少なかったからです。
パーセントですとイメージしにくいので、長さに置き換えてみましょう。大気を、幅1mの学習机に横に並べてみると、窒素は幅78cm、酸素は21cmになりますが、二酸化炭素は僅か0.4mmしかありません。0.5mmのシャープペンの芯の太さにも及ばないのです。
『今、問題になっているのは「CO2の増加」だよね?』
二酸化炭素の増加は、250年前の産業革命から始まり現在に至っているといわれています。
ところが、その増加量は、幅1mの学習机の上に書かれた落書きが、250年前には「0.3mm芯シャープペン(0.028mm)」だったのが、最近では「0.4mm芯シャープペン(0.040mm)」になったという程度の話であり、この250年のCO2の増加量とは、1mの学習机の上に落ちた、一本の髪の毛の幅にも及ばないものなのです。
―― これが、私たち人類を脅かしているCO2の総量?
その驚異的な数字の小ささに、私は、言葉もありませんでした。
それはそれとして、この数値を使って、嫁さんが懸念している「全人類窒息死」を検討してみました。
まず、「全人類窒息死」を実現させるためには、大気中のO2濃度を薄めて全体の16%ボーダー(16cm)に持ち込む必要があります。
一方、CO2は、ここ250年間、化石燃料を使い倒しても、0.1mm程度しか増えていないのですから、現在の調子で、ガソリンや灯油を使いまくって、O2をCO2に変えても、あと10万年程度の時間が必要になります((21cm−16cm)÷(0.040−0.028)cm×250年=10万年)。今、21世紀ですから、ざっくり1021世紀くらいになるでしょう。
この頃には、化石燃料の方が、先に地球上から枯渇しているはずです。
とりあえず、嫁さんには、『化石燃料による「全人類窒息死」の可能性は、当面考えなくていいよ』と伝えておきました。
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