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“引きこもり”は環境に優しい?――CO2を数字で見てみる世界を「数字」で回してみよう(10) 環境問題(1/4 ページ)

地球温暖化をもたらす温室効果ガスの中で、最も“敵視”されているものが二酸化炭素(CO2)です。今回、CO2を数字で見てみたところ、意外な“モノ”がCO2を大量に排出していることが分かりました。

» 2014年12月09日 13時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]

CO2増加量は、髪1本の幅にも満たず

 「環境問題」とは結局何なのか(前編)で出てきた、私の嫁さんのテーゼ『化石燃料による「全人類窒息死」の可能性』について、真面目に調べてみました。要するに、ガソリンや灯油を燃やしまくって、地球上の酸素がなくなってしまう可能性を計算してみたのです。

 まず、大気中の気体の構成比率を調べてみました。水分を追い払った乾燥空気の、上位4位が以下の通りです。

順位 成分 体積比(%)
#1 窒素(N2 78.0840
#2 酸素(O2 20.9476
#3 アルゴン(Ar) 0.93400
#4 二酸化炭素(CO2 0.0390

 「何だ、これ?」

 上記の表を見て、私はあぜんとしました。二酸化炭素の比率が、驚く程少なかったからです。

 パーセントですとイメージしにくいので、長さに置き換えてみましょう。大気を、幅1mの学習机に横に並べてみると、窒素は幅78cm、酸素は21cmになりますが、二酸化炭素は僅か0.4mmしかありません。0.5mmのシャープペンの芯の太さにも及ばないのです。

 『今、問題になっているのは「CO2の増加」だよね?』

 二酸化炭素の増加は、250年前の産業革命から始まり現在に至っているといわれています。

 ところが、その増加量は、幅1mの学習机の上に書かれた落書きが、250年前には「0.3mm芯シャープペン(0.028mm)」だったのが、最近では「0.4mm芯シャープペン(0.040mm)」になったという程度の話であり、この250年のCO2の増加量とは、1mの学習机の上に落ちた、一本の髪の毛の幅にも及ばないものなのです。

―― これが、私たち人類を脅かしているCO2の総量?

 その驚異的な数字の小ささに、私は、言葉もありませんでした。

photo CO2の総量は、驚くほど少ないものでした

 それはそれとして、この数値を使って、嫁さんが懸念している「全人類窒息死」を検討してみました。

 まず、「全人類窒息死」を実現させるためには、大気中のO2濃度を薄めて全体の16%ボーダー(16cm)に持ち込む必要があります。

 一方、CO2は、ここ250年間、化石燃料を使い倒しても、0.1mm程度しか増えていないのですから、現在の調子で、ガソリンや灯油を使いまくって、O2をCO2に変えても、あと10万年程度の時間が必要になります((21cm−16cm)÷(0.040−0.028)cm×250年=10万年)。今、21世紀ですから、ざっくり1021世紀くらいになるでしょう。

 この頃には、化石燃料の方が、先に地球上から枯渇しているはずです。

 とりあえず、嫁さんには、『化石燃料による「全人類窒息死」の可能性は、当面考えなくていいよ』と伝えておきました。

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