7月に入っても構造改革のペースは衰えない。2月の生産部門再編に続き、今度は設計開発部門の再編を発表。本社、子会社に点在した設計開発部門を機能別に再編するとともに、子会社数を8月1日付で削減した。合わせて、再編の影響を受ける5900人の従業員を対象に、2014年2度目となる早期退職優遇制度を実施した結果361人が応募し、9月末で退職した。
リストラ、事業の売却といった“事業縮小の話題”が続く中で、2014年9月2日、都内でプライベートイベント「Renesas DevCon JAPAN2014」を開催した。参加したユーザー、パートナーの数は約1500人で、国内半導体メーカーのプライベートイベントとしては、過去最大規模となった。
とても経営再建半ばの企業のイベントとは思えない盛大なイベントを開催した狙いは、明確だった。イベントのテーマは、“反転攻勢”に向けルネサスが「一歩先の世界」を提供――。マイナスイメージが先行する中で、そのイメージをぬぐい取り、未来に向けて成長を目指す“明るいルネサス”を打ち出すため、過去に類を見ない異例のイベントを実施した。
基調講演で、作田氏は「変革しつつあるルネサスの姿を見ていただき、卓越した技術を体感してほしい」と述べ、イベントでは、二大注力分野である「自動車」「産業機器」向けの自社技術のアピールに終始した。
さらに作田氏は、イベント会場でメディア各社への取材にも応じ、「これからはR&D(研究開発)に集中していく」と語り、構造改革フェーズから成長投資フェーズへの移行を宣言。イベント直前に発表されたインフィニオン・テクノロジーによるインターナショナル・レクティファイアー買収などを受けて「競合の買収ニュースが相次ぐ中で、心中穏やかではないのも事実」などと語り、成長に向けた事業買収を模索していることを明かした。
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