米国特許庁によれば、2014年に認可された特許は30万674件で、2013年に比べて8%増加した。ただし、ある専門家は、特許戦略は今後、“量よりも質”に重点が置かれる傾向になると予想している。
あるIP(知的財産)の専門家は、「特許戦略の軸は今後数年の間に、量から質へと移行する」と予想している。一方で、「IP(知的財産)の取得競争は当面続く」と主張するアナリストもいる。
現在、企業は複数の特許を一括で申請し、競合との特許取得競争を繰り広げている。しかし、先の専門家は名前を明かさない条件で、「今後は、特許件数よりも特許内容を重視する傾向に向かうと予想される。件数が少なくとも優れた特許を取得することが、より重要になってくる」と語った。
同氏の予想の背景には、次のような要因があるという。
量から質への変化の兆候が最初に見られたのは中国である。中国特許庁は、2014年に85万件の特許を認可したと報じられた。ただし、認可件数は2013年と比べると3〜5%減少している。特許認可件数が10%以上の割合で増加し続けていた中国にとっては、過去数年間で初めての減少となった。「中国では、認可件数の減少は今後も続くという見方が多い」と先の専門家は述べている。
一方、この見解に異議を呈するアナリストもいる。米国Fairview Researchの特許情報部門であるIFI Claims Patent Servicesで特許の動向を追跡するLarry Cady氏は、「米国の年間特許取得件数は減少傾向にあり、2014年の増加率は8%だった。だが、再び急増する可能性が高い」と述べている。
同氏は、「企業が防衛的に幅広い特許ポートフォリオを取得する傾向は、長年続いてきた。この傾向が変化するとは思えない。過去数年間、特許取得件数はわずかに減少したが、それは景気循環の影響によるものだ」としている。
2008年の景気後退後のように経済が低迷している数年間は、企業は経費を抑える。特許の認可までは平均で3年かかるため、認可を受けるまでのタイムラグを考慮すると、特許取得件数の減少は景気の回復後もしばらくは続くと予想される。
Cady氏は、「経済は回復し始めている。2016〜2017年には、特許認可件数は従来の増加率に戻るだろう」と予想している。
いずれにせよ、2015年は米国議会でIPに関する議論が拡大し、特許改革が再燃すると予想される。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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