日立製作所は、膨大なパターンから実用に適した解を導く「組み合わせ最適化問題」を、量子コンピュータ並みの性能で実現する新型コンピュータを試作した。室温での動作が可能で、従来コンピュータに比べると電力効率は約1800倍となる。
日立製作所は2015年2月、膨大なパターンから実用に適した解を導く「組み合わせ最適化問題」を、量子コンピュータ並みの性能で実現する新型コンピュータを試作した。室温での動作が可能で、従来コンピュータに比べると電力効率は約1800倍になるという。
同社が開発した新型コンピュータは、半導体回路上でイジングモデルを疑似的に再現している。半導体回路技術を用いているため、コンピュータの動作を常温で行えるのが大きな特長だ。具体的には、これまで量子アニーリングで解を求めていたイジングモデルの振る舞いを、半導体メモリ技術を用いて実装する「CMOSアニーリング」技術を開発し、適用した。また、半導体回路を用いた場合に、「特定の局所解に固定される」といった課題も解決している。今回は、外部から特殊な回路を経て入力されるノイズを利用することで、特定の局所解への固定を防いだという。
イジングモデルによる計算処理は、部分計算を行うだけで、実際のシステムで用いるのに適した「実用解」が得られるのが特長だ。このため、処理速度を高速化できるとともに、電力消費量も節減することが可能となった。半導体チップを複数用いて並列計算を行えば、さらに処理速度を高めることができるという。
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