ルネサス エレクトロニクスは2015年2月25日、28nmプロセス世代の車載マイコン向けに、高速読み出し、高速書き換えを実現する新たな混載フラッシュメモリ技術を開発したと発表した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2015年2月25日、28nmプロセス世代の車載マイコン向けに、高速読み出し、高速書き換えを実現する新たなフラッシュメモリ技術を開発したと、2月22〜26日に米国で開催されている国際学会「ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference) 2015」で発表した。200MHzの読み出し速度と2.0Mバイト/秒の書き込みスループットを達成し、いずれも「業界最速」(ルネサス)としている。
ルネサスは1年前のISSCC 2014で、28nmプロセス世代マイコン向けのSG-MONOS構造*)を用いたフラッシュメモリ技術を発表し、2018年にも28nmプロセス世代フラッシュ内蔵マイコンを製品化する方針を示している(関連記事:ルネサス、2018年に28nm世代フラッシュマイコンを製品化へ)。
*)Split Gate-Metal Oxide Nitride Oxide Siliconの略。既に製品化している40nmプロセス世代フラッシュ内蔵マイコンなどにも適用しているルネサス独自のフラッシュメモリ構造。
今回のISSCC 2015で発表した技術は、前回の技術よりも、読み出し/書き換え速度を高めたものだ。従来の28nmプロセス用混載フラッシュメモリは、読み出し速度160MHzだったが、新技術では200MHzを達成。書き込みスループットも、「競合の40nm世代向け混載フラッシュ技術で最速とみられる1.4Mバイト/秒を上回る2Mバイト/秒を達成した」(ルネサス)。その他、信頼性向上技術なども新たに盛り込み、プログラム格納用として最大16Mバイトから最大32Mバイトに搭載可能容量が拡大したという。
今回、新たに適用した技術は主に以下の4つだ。
メモリセルの微細化に従い読み出し電流は減少し読み出し速度の低下を招く原因となる。必要な読み出し電流を確保する手法としては、ワード線(メモリセル選択用ゲート)電圧をオーバードライブする方法が一般的だが、周辺トランジスタの高温下での信頼性悪化が懸念される。そこでルネサスでは、メモリセル電流と周辺トランジスタの信頼性の温度依存性が逆依存であることを利用。ワード線電圧に負の温度依存性を付加することにより、周辺トランジスタの信頼性寿命を、単純なワード線オーバードライブに対して10倍以上改善させた。これにより読み出し速度を従来の160MHzから200MHzへ高速化させるとともに信頼性を向上させた。
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