MWC 2015では、ニーズが高まっているスモールセルも注目されると見られている。スウェーデンの通信大手であるEricssonやフランスの通信機器メーカーであるAlcatel-Lucent、10GBase-T技術の開発企業であるAquantiaなどの企業は、さまざまなコンフィギュラブルなスモールセルが抱えるデータレートの向上に関する課題の解決を目指している。
Linley GroupのアナリストであるJag Bolaria氏によると、「米国や韓国、日本、中国では、マクロセルの設置数がピークに達している」という。MWC 2015では、LTE/LTE-Advanced関連の発表が多いと予想されている。
「投資家が最も注目しているのは、人口密度が多い地域のカバレッジの拡大や充実に向けたスモールセル技術だと予想される。半導体企業は現在、スモールセル向け統合ソリューションの開発に注力している。マクロセル向けのSoCも数多く投入されるようになるだろう」(Bolaria氏)。
Bolaria氏は、「MWC 2015では、スタジアム向けの分散アンテナシステムや、建物が密集した広大なキャンパス向けのスモールセルなどに注目が集まるだろう。2015年末にかけてこうした技術が相次いで発表され、今後5年間で実用化されると予想される」と述べている。
多くの専門家が2020年に5Gが実用化されると予想しているが、通信事業者やネットワーク企業は既に独自の5G技術の導入に向けて準備を進めている。Ericssonは、マルチスタンダード/マルチバンドに対応した、新しい無線システム向けモジュラーアーキテクチャやルータを開発した。同社は、2020年までに1カ月当たり最大25エクサバイトのモバイルデータをサポートするシステムを実現するとしている(関連記事:エリクソンが考える“2020年の移動通信”)。
通信事業者各社は、Cloud-RAN(C-RAN)のような仮想化ネットワークによって通信コストの削減を目指している。C-RANは、無線制御を集約する方式で、コストの削減が図れる。Aquantiaは、28nmプロセス技術を適用した低消費電力の適応レート物理レイヤトランシーバ「AQcell」を発表した。同製品は、屋内の携帯電話接続を改善するための屋内C-RANアーキテクチャに向ける。
AQcellは、200mの銅線ケーブルにデジタル化したセルラー信号を数Gビット/秒で伝送できる。AQcellの物理層はフロントホールソリューションとして機能し、2.45Gビット/秒、4.92Gビット/秒、9.83Gビット/秒のデータレートでリモート無線ユニットと集中制御装置間のデータ伝送を行う。
C-RANは数Gビット/秒のデータ伝送を行うため、たくさんのファイバーケーブルが必要となり、インフラの整備が難しい。このため、実現には課題が多い。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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