これまでに述べたコネクタ関連のあらゆる問題点に対処することを目的とし、1994年に7つの会社が集まった。その7社はCompaq、DEC、IBM、Intel、Microsoft、NEC、Nortelであり、それらの会社には大いに感謝しなければならないところだ。彼らが志向したことはコンピュータへの外部機器の接続を抜本的に簡単化することだった。そのために彼らは、既存インタフェースの使用上の問題点を解決し、コンピュータに接続される機器のソフトウェアによる構成/設定を単純化し、同時に、外部機器の広帯域化を可能にしようとした。
その結果が、もちろん、Universal Serial Bus、短く表現すればUSBだ。USB1.0は1996年1月に発表されたが、製造時欠陥や一時的異常が頻発し、実際に市場に出たUSB1.0デバイスはほとんどなかった。USB1.1が1998年9月にリリースされた。このリリースはUSB1.0の問題を解決したもので、広く実用された最初のバージョンとなった。
筆者個人が初めて見たUSBコネクタは1998年の夏に購入したタワー型コンピュータの背面についたものだった。不幸にして、これらのコネクタはソフトウェアの修正版が利用できるようになるまでしばらくは使用できなかった。幸いにも、このことによる筆者への影響はほとんどなかった(当時は、コンピュータに接続するUSB機器を有していなかったから……)。もちろん、この状況はすぐに変化し、筆者の事務所の至る所でさまざまな形状やサイズのUSB製品が見られるようになるまで時間は掛からなかった。
さて、“より大量のデータを送受信したいという要求がとどまることなく強まっている”ということは、間違いがない。
“USB1.x”のデータ速度仕様は1.5Mビット/秒(Low Speedと呼ばれる)と12Mビット/秒(Full Speedと呼ばれる)だ。こうした帯域はあまり高度でないアプリケーション、例えば、マウスやキーボードあるいはプリンタやスキャナなどでは十分だが、大量データを伝送するにはあまりにも遅い。
このような事情がUSB2.0への動きを促し、2001年終盤にUSB-IFが公式の規格として導入した。USB2.0では新しい転送方式や他の技術要素が付加されるとともに、データ伝送速度がUSB1.xによるFullSpeed最大帯域の40倍になる480Mビット/秒(High Speed)に拡張された。
USBがもたらした利点は、いくら評価しても足りないぐらい大きい。読者はどう思うか分からないが、筆者はUSBメモリのない世界を想像することが不可能だ(同様な表現がRS-232ベースのメモリについても使われたというのが信じられない)。
ホットプラグの可能なUSBデバイスは、コンピュータの電源を切断し、再投入するという無駄な時間をなくす。また、新しいUSBデバイスを使う時には、既存のドライバーを利用することもでき、また、所要のドライバーをインターネットから自動的にダウンロードすることも可能だ。
コンピュータのUSBポートが足りなくなった時には、単にUSBハブ(拡張ポート)を接続すればよく、それ以上のことは不要だ。USBケーブルがデジタルカメラやMP3プレーヤなどの周辺デバイスに電源を供給したり充電するために使用可能なことも変わらない。
先に進む前に、ここでUSBケーブルについて見ておくのがよさそうだ。USB1.xではType-A(コンピュータに差し込む)とType-B(周辺デバイスに差し込む)と呼ばれる2種類のコネクタを使うことから始まる。興味深いことは、電源用端子がデータ用端子よりも長く、そのため、USBデバイスはデータ端子が接続される前に電力を確実に受けることができるようになっている。
マウスやキーボードのようなある種のデバイスではケーブルが引き出されており、そのケーブルにはType-Aコネクタがつく。プリンタなどの他の種類のデバイスでは、一端にType-A、他端にType-Bコネクタのケーブルが必要だ。
さて、ここであえて言えば、Type-AとType-Bのコネクタの設計では設計者が少々過度に想像力を働かせ過ぎ、少し踏み違えたのではないかと筆者は感じる。第一に、これらのコネクタには方向性があり、それらを差し込む時にはどちらが上かを見つけ出さなければならない。筆者はこれまでに何度間違った向きで差し込もうとしたことか、その結果、端子間をギシギシと擦らせ、外装を傷つけたことか、読者にもお分かりいただけるだろう。
そもそも2種類の異なるコネクタが必要なのは、なぜなのだろうか。ケーブルの両端にType-Aプラグを付け、コンピュータとプリンタやその他の周辺デバイスにもType-Aソケットをつける、ということをしなかったのはなぜだろうか。
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