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これから世界を席巻する!? USB Type-Cを知るUSB前夜から歴代コネクタたちを偲びつつ(5/6 ページ)

» 2015年03月05日 09時45分 公開
[Max MaxfieldEE Times]

 次に、2組の高速TX/RX信号(ピン)について見てみよう。これらが1本当たり10Gビット/秒というUSB3.1 SuperSpeed+規格をサポート可能なので、Type-Cは20Gビット/秒に達するrawデータをサポートできる。さらに、これらの信号(ピン)は代替モードをサポートできるよう設定でき、ビデオ信号などのさまざまな種類の非USBデータが伝送可能になる。

 SBU1/2サイドバンド信号ピンもあり、これらは、DFPとUFPが合意するデータならば何でも(例えば、多分オーディオストリームを)伝送できるよう設定できる。最下段の列にはUSB Type-C信号ピン6本が並ぶ(4本のTX/RX、2本のサイドバンド信号ピン)――図8では黄色で区分けされている――。これらは必要に応じて(およびDFPとUFPのネゴシエートの結果として)代替データモードをサポートするよう設定できる。

図8 USB Type-Cコネクタのピン配列と基本的な信号割当て (クリックで拡大)

 これまでに、DFPとUFPとが相互にネゴシエートするという概念について言及した。この概念についてもう少し詳しく考えてみよう。まず、USB Type-CケーブルでUFP(周辺デバイス)に接続されたDFP(ホスト)の基本構成(図9)の説明から始めよう。

図9 USB Type-CケーブルでUFP(周辺デバイス)に接続されたDFP(ホスト)の基本構成 (クリックで拡大)

 「ケーブル自体にはただ1本のCC接続導線しかないこと」に注目してほしい。両側にあるVconピンはケーブル内のRa(プルダウン)抵抗を経由してグラウンドに接続されている。DFP内のRp(プルアップ)抵抗はUFP内のRd(プルダウン)抵抗とは異なる抵抗値を持ち、これらの抵抗はともにケーブル内のプルダウン抵抗とも異なる値を持つ。これらの違いによって、DFPとUFPにケーブルが接続された時に、どちらがどちらで、どちら向きに回るかを決めることが可能になる。

 単純なUSB Type-Cケーブルはパッシブであり、図9のように表すことができる。より高度な電力とデータ通信のモードをサポートするには、電子IDを備えた幾つかのケーブルを使用する必要がある。この場合、電子IDがケーブルのサポート可能な電力容量とデータ帯域をシステムに通知する。

 以下に、こうした動作の全景をごく簡単に説明しよう。

 最初に、USB Type-Cケーブルを両方のデバイス(ケーブルが引き出されているキーボードのようなデバイスでは一方のデバイスになるが)に差し込む。これにより、Cable Detect(CD)フェーズが始まり、DFPとUFPは各種のプルダウンとプルアップ抵抗を利用して、差し込まれたケーブルをどちら向きに回るか、どちらがどちらに何をするかを決定する。DFPがケーブルのどのピンがCCピンとVconピンであるかを判定すると、CCピンに5V信号を供給する。この5Vからケーブルの電子ID(もしあればだが)に電源が供給される。次に、ケーブル電子IDがVconピンに電力容量やデータ帯域のような特性の記述されたデータを送信する。

 次のステップはPower Delivery(PD)が焦点だ。このステップでは、DFPとUFPが相互にやりとりして、どちらが電源を供給し、どちらが受け取るかを決める。この結果に基づき、(同時に、電源供給側のデバイス能力とケーブルの送電能力に基づいて)DFPとUFPとが使用電圧と利用可能な電流に関して合意に達し、次に進む。

 また、DFPとUFPは高速チャンネルで伝送されるデータ種別に関してもネゴシエートする。この規格には標準的なUSBプロトコルに加え、PCIe、VGA、HDMI、DPなどの非USBアプリケーションをサポートするVendor-Defined Messages(VDM)の概念が組み込まれている。さらに、サイドバンドチャンネルもベンダー規定(音楽など)にすることが可能だ。

 以上、USB Type-Cを簡単にまとめて言えば、1個の小さく、頑強な、方向性のないコネクタが利用でき、対応するケーブルやサブシステムとともに使用することにより、100Wに達する高速充電用電力が得られ、最大20Gビット/秒の高速データ通信が可能になるということだ。全体システムは非常な柔軟性をもち、オーディオやビデオなどのベンダー規格モードを追加することにも対応可能だ。どういうことだろうと不審に感じているかもしれないが、さまざまな小型ドングルが登場し、それによりUSB Type-CデバイスやケーブルとUSB2.0/3.x対応品とを連結して使用できるようになると期待されるのだ(Type-Cデバイスは旧来デバイスがサポートする能力まで能力を落とすことになろう)。

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