USB Type-Cの全体概念が極めてエキサイティングなことについては読者も納得されたことと思う。しかし、考えなければならない幾つかの課題がある。USB Type-Cのような規格は時間とともに突然、変化したり、進化したりすることが珍しくはないからだ。
さらに、現段階では、既存のPHYデバイス、マイクロコントローラ(MCU)およびアプリケーションプロセッサ(AP)はUSB Type-Cインタフェースの能力、つまりCable Detect(CD)やPower Delivery(PD)あるいはSuperSpeed+ Switch(SS)コントロールやVendor-Defined Messaging(VDM)などの諸機能を全開するに必須な機能をサポートできるだけのハードウェアを有していない。
このような事情からFPGAベースのソリューションが必要とされている。この分野に思い切りよく活力をもって飛び込んだFPGAベンダーがLattice Semiconductorだ。Latticeの開発者はUSB Type-Cの実装を目指して工夫と努力を重ね、自社FPGAに利用するさまざまなIPブロックを作り上げてきた。
可能性のある簡単なシナリオを考えてみよう。タブレットやスマートフォン、MP3プレーヤあるいはデジタルカメラなどのUSB Type-C対応デバイスが登場すると、最初に期待される製品は優れた充電器(ACアダプター)だろう。
新登場の充電器には、新方式のCable Detect(CD)やPower Delivery(PD)の機能を利用し、デバイス要求を満足すると共に充電器性能に最良に見合った電力条件をネゴシエートし設定することが求められるだろう。そのような条件が成立すれば、PD機能によりPower Management Integrated Circuit(PMIC)がコントロールされ、設定された電流と電圧が供給される。
このシナリオは簡単なものだ。充電器と電源装置は高速データ伝送に関係がないので、データパスを制御するためのスイッチ制御ロジックを必要としない。Latticeの技術者は、高速データストリームやDual Role Port(DRP)対応のスイッチコントロールロジックなど一層複雑な設計を含むアプリケーションを多数経験している。
白状すれば、筆者がUSB Type-Cについて知っていることの大半はLattice Semiconductorのマーケティング(新事業推進)部門ディレクタであるGordon Hands氏から学んだことだ。読者はマーケティングの言葉に惑わされないように。Gordon氏は経営学修士であるが、それに加えて、工学士の資格も持つ(氏は技術者仲間だ)。
さて、読者の皆さんは、ここまで読まれてUSB Type-Cについてどう思われただろうか。個人的には、筆者は待ちきれない気持ちだ。初期の過渡期も興味深い時期ではあるが、筆者はそれ程遠くはない将来にやってくるだろう素晴らしいことに気持ちが集中している。
【翻訳:中村理、編集:EE Times Japan】
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