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NXP CEOに聞く“フリースケール買収の舞台裏”IDTやCSRも買収候補だった!(2/3 ページ)

» 2015年03月05日 13時40分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

IDTやCSRも買収候補だった

 NXPは、最初からフリースケールだけを買収先として狙っていたわけではない。

 Clemmer氏によると、フリースケールの他にも、IDTやCSRなどを候補として挙げていたという。同氏は、「もしNXPが、IDTとの間で合併契約を結んでいたとしたら、それはAvago Technologiesが好んで行っているような戦略とみなされるだろう。Avago Technologiesは、周辺ビジネスに参入する手段としての企業買収を繰り返しているためだ」と述べる。

 Clemmer氏は、「NXPにとってCSRは、買収対象にはならなかった。CSRについて調査したところ、CSR全体の25%程度しか当社にとって魅力がなかったためだ。残りの75%については、全く興味を持てなかった」と述べる。

 同氏は、「NXPは、以前からフリースケールに興味があった。プライベートエクイティファンドによって買収されたという共通の経歴があり、互いをよく知っていたことなどから、戦略的合併を実現できると考えていた」と述べている。ただし、両社がそれぞれ負債を抱えていたために、合併交渉が長い間なかなか進まなかったという。

 Clemmer氏は、「フリースケールは近年、売上高の減少に歯止めをかけ、借金投機の停止を効果的に行っている。同社のプレジデント兼CEOであるGregg Lowe氏の指揮の下、収益性を改善し、企業としての魅力を高めてきた」と説明する。

 IHS Technologyでテクノロジ担当バイスプレジデントを務めるDale Ford氏によれば、2014年の予備データからみると、両社は合併後、世界売上高シェア第7位を獲得する見込みだという(関連記事:フリースケール買収のNXP、車載半導体で首位ルネサスに肉薄か――世界半導体シェアは7位へ)。

 Ford氏は、「両社の過去を振り返ってみると、いずれも今回の合併を発表する前の2年間(2013〜2014年)、高い業績を上げている。2013年以前の両社の成長率は、少なくとも2008年頃から市場全体の成長率を下回っていた」と述べている。

事業内容の重複は本当にないのか

 Clemmer氏は、「NXPはコネクテッドデバイス市場を主導したい考えだが、それを実現する上で問題となる要素として、センサーとプロセッシング、コネクティビティ、セキュリティの4つが挙げられる」という。

 NXPは、セキュリティ分野をリードしている。フリースケールとの合併により、コネクティビティ関連でさらに幅広い製品ポートフォリオを実現できるようになる。Bluetooth対応製品は、両社ともそろえている。NXPにはZigBee製品がないが、NFC(近距離無線通信)対応製品を持つという点で強みがある。

 フリースケールはプロセッシング分野において秀でている。Clemmer氏によると、NXPのマイコン事業部門の規模は、フリースケールのわずか1/5程度にすぎないという。両社が、ARMのCortex-Mコアを採用したマイコン製品群を整理する予定なのかどうかについては、「NXPは買収手続きの完了後、製品選択の一環としてその課題に取り組む必要がある」と述べた。

 センサー分野に関して、Clemmer氏は、フリースケールが構築したセンサープラットフォームの存在を認めている。ただし、「センサー分野では、パートナーとの協業が不可欠だと考えている」と慌てて付け加えた。

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