Clemmer氏によると、NXPは今回の買収が完了すれば、車載用半導体市場において、他の追随を許さない世界第1位の座を得ることになるという。だが慎重を期して、両社が、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)やセキュリティ機能、コネクテッドカーなどを実現していく上で、似たような技術開発を手掛けていないかどうか、検討すべきではないだろうか。しかし同氏は、「その必要はない」と言う。
Clemmer氏によると、NXPのAM/FMカーラジオ向けチップは、自動車メーカーやティア1サプライヤが使っているカーオーディオプラットフォーム28種のうち、27種で採用されているという。同氏は、「当社には、シリコンチューナやDSPもある。フリースケールのアプリケーションプロセッサをNXPのカーラジオプラットフォームに搭載すれば、新生NXPは、完璧かつ強力な車載インフォテインメントシステムをすぐにでも提供できるようになるだろう」と強調した。
セキュリティについてはどうだろうか。Clemmer氏は、「フリースケールはソフトウェアで、NXPはハードウェアでセキュリティ機能を追求してきた」と述べている。
両社が注力する車載分野で最も異なるのは、NXPはコネクテッドカーにおける接続性とセキュリティにフォーカスしているのに対し、フリースケールはエンジン制御やパワートレイン系に強みを持っているという点だ。IHS Technologyの車載半導体アナリストを務めるLuca DeAmbroggi氏は、「今回のM&Aによって、高い成長率を持つ車載市場のあらゆるセグメント向けに製品を提供できる、“完全な車載半導体製品群”を持つ企業が誕生することになるだろう」と分析する。
人員削減について問われたClemmer氏は、「われわれは、現在進められている研究開発プロジェクトのいずれについても、中断することは考えていない」と答えている。同氏は、買収完了後は、約5億米ドルのコスト相乗効果を見込めるとしている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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