NXP CEOに聞く“フリースケール買収の舞台裏” : IDTやCSRも買収候補だった! (3/3 ページ)
Clemmer氏によると、NXPは今回の買収が完了すれば、車載用半導体市場において、他の追随を許さない世界第1位の座を得ることになるという。だが慎重を期して、両社が、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)やセキュリティ機能、コネクテッドカーなどを実現していく上で、似たような技術開発を手掛けていないかどうか、検討すべきではないだろうか。しかし同氏は、「その必要はない」と言う。
Clemmer氏によると、NXPのAM/FMカーラジオ向けチップは、自動車メーカーやティア1サプライヤが使っているカーオーディオプラットフォーム28種のうち、27種で採用されているという。同氏は、「当社には、シリコンチューナやDSPもある。フリースケールのアプリケーションプロセッサをNXPのカーラジオプラットフォームに搭載すれば、新生NXPは、完璧かつ強力な車載インフォテインメントシステムをすぐにでも提供できるようになるだろう」と強調した。
セキュリティについてはどうだろうか。Clemmer氏は、「フリースケールはソフトウェアで、NXPはハードウェアでセキュリティ機能を追求してきた」と述べている。
両社が注力する車載分野で最も異なるのは、NXPはコネクテッドカーにおける接続性とセキュリティにフォーカスしているのに対し、フリースケールはエンジン制御やパワートレイン系に強みを持っているという点だ。IHS Technologyの車載半導体アナリストを務めるLuca DeAmbroggi氏は、「今回のM&Aによって、高い成長率を持つ車載市場のあらゆるセグメント向けに製品を提供できる、“完全な車載半導体製品群”を持つ企業が誕生することになるだろう」と分析する。
人員削減について問われたClemmer氏は、「われわれは、現在進められている研究開発プロジェクトのいずれについても、中断することは考えていない」と答えている。同氏は、買収完了後は、約5億米ドルのコスト相乗効果を見込めるとしている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
ITSに欠かせない“C2X”用通信ICで先行するNXPの戦略
NXP セミコンダクターズジャパンは、「コネクテッドカー」と呼ばれるインターネット接続型自動車向け半導体事業を、成長戦略の柱と位置付ける。今回、戦略製品の1つとして、ITS(高度道路交通システム)実現に不可欠な「車車間通信」(C2C)や「車とインフラ間通信」(C2I)に向けたソフトウェア無線(SDR:Software Defined Radio)プロセッサ「SAF5100」のサンプル出荷を始めた。
MWC 2015もキーワードは“コネクテッド”、IoTや5G関連技術に注目
スペイン バルセロナで開催される「Mobile World Congress(MWC) 2015」(2015年3月2〜5日)では、「2015 International CES」と同様、“コネクテッド”がキーワードになりそうだ。MWCは、名前にこそ「モバイル」という言葉が入っているが、もはやスマートフォンやモデム向けの技術だけでなく、さまざまな分野向けの接続機器やネットワーク技術について議論を交わすための場となっている。
NXPが中国通信機器メーカーと合弁、中国の国産車に車載半導体を供給
NXP Semiconductorsは、中国の通信機器メーカー大唐電信と、中国の国産車に搭載される半導体の設計開発などを手掛ける企業を合弁で設立する。
サムスンCEO「IoTには協業が必要」と“自称・オープンエコシステム”を提案
「2015 International CES」に先立って開催されたプレスカンファレンスの基調講演で、Samsung Electronics(サムスン電子)のCEOを務めるBoo-Keun Yoon氏は、IoT(モノのインターネット)市場の成長のためには業界間の協業が不可欠であり、同社が言うところの“オープンエコシステム”が必要だと強く主張した。
次なる“キラーアプリ”は自動車、Bluetooth Smart
ハンズフリー通話やカーオーディオなど、自動車内においてBluetoothは既に欠かせない技術となっている。Bluetooth Smartが登場したことで、ビーコンやキーレスエントリを応用した、従来の用途にとどまらない幅広いアプリケーションを実現できる可能性が広がっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.