そこでWi-Chargeでは、2つの点を改善した。1つ目は、半透明の鏡を取り払い、レシーバを光起電力セルの近くに配置するということである。
次に、反射鏡の表面(光子が反射する面)を曲面にした。これにより、光子は、飛んできた方向と同じ方向に戻るようになる。そのため、送電側の反射鏡とレシーバが平行でなくても給電することができる。
こうした技術により、Wi-Chargeを採用した端末は、位置合わせをあまり気にせずワイヤレス充電を行うことができる。部屋に入った瞬間に、自動的に充電が開始されるようなイメージだ。
Wi-Chargeは、1個のトランスミッタで複数の機器に給電できる。給電できる機器の数は電池容量(の合計)によって変わる。Wi-Chargeは、コンセントに搭載する2Wのトランスミッタと2W対応のレシーバモジュールを、スマートホーム向けに披露した。また、モバイル機器向けに設計されたトランシーバとレシーバも披露した。トランシーバは17mm×17mmで10W出力、レシーバは5Wに対応する。デモでは、テーブルの上に置いたSamsung Electronicsの「Galaxy S4」を、テーブルを最大80°まで回しながら充電してみせた。
Wi-Chargeのマーケティング部門担当バイスプレジデントを務めるGuy Michrowski氏は、EE Timesに対して、「Wi-Chargeが普及すれば、機器は常時充電されて、電池切れになることはなくなるだろう」と述べている。
Wi-Chargeが給電向けに開発した製品には、スピーカーに取り付けられるドングルやスマートフォンケースに組み込まれたレシーバなどもあるという。同社のCEO(最高経営責任者)を務めるVictor Vaisleib氏は、「将来的に、スマート電球にトランススミッタを搭載したいと考えている」と話した。
「スマートフォンの電池では、2〜3時間でフル充電できるとみている。当社は、給電スピードを最速にすることを目指しているわけではない」(同氏)。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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