今回の動きは、スマートホーム向けのさまざまなプロトコルの勢いに押されそうになっているZigBee陣営が、守りを固めようとしているとも取れる。ZigBeeはIoTが技術的に確立するよりかなり前に実用化されていたが、32ビットプロセッサやIPネットワーク対応で後れを取っていた。
米国の市場調査会社であるABI Researchの専門家は、「ZigBeeは、2015年に販売されるIEEE 802.15.4対応機器の75%(金額ベース)を占めるとみられる。だが、IPベースの6LoWPANネットワークの成長に押されて、2019年にはその割合は半分以下にまで減少すると予想される」と述べている。一方、スマート技術関連の市場調査会社であるON Worldによると、「ZigBeeは、2018年まで家庭やオフィスの固定ワイヤレスセンサーネットワーク市場をリードする見通しだ」という。ただし、同社は「ZigBeeだけでなく6LoWPANとBluetoothにも対応したマルチモードチップが登場すると予想される」とも述べている。
スマートホーム市場には今後も多くの企業が参入すると予想される。その一例として、Bluetooth SIGは、2015年末にメッシュネットワークに対応した仕様を発表する計画だという*)。
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Thread Groupは、「Threadは、6LoWPANをベースにした、セキュリティや信頼性に優れた独自のメッシュネットワークである」としている。だが、「IP for Smart Objects(IPSO)Alliance」のような、他の6LoWPAN対応規格の普及を進める団体は、「われわれは、インターネットで利用される技術の標準化を推進する組織である『IETF(Internet Engineering Task Force)』の規格をより厳密に順守しているため、よりオープンな規格である」と主張している。
ThreadとZigBeeが協力体制を組んだことで、現在はかなり断片化しているIoT向けプロトコルの統一や互換性の確保に向けた動きが、加速する可能性がある。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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