「原発の再稼働は必要だ」という人もいれば、「原発の再稼働は不要だ」という人もいると思いますが、その時、今回のような数字を「使う」のと「使わない」のでは、その主張の重みが全然違ってくると思います。
数字は使い方で武器になります。
本連載の第1回で申し上げた通り、2つ以上の相反する問題があった場合、それを解決する手段として、正義とか正論とか倫理とか、そういう、唯一解を導き出せない議論は、もう「時代遅れ」なのではないか、と思うのです。
インターネットのない時代と違って、今はネット上に数字があふれ返っています。私たちは、もう「そんなこと、知らなかった」とは言えない時代に生きているのです。
実際、これまで1年間の連載で私が使った数字は、全てネット上に公開されているものだけです。私は、これを自分なりの方法で料理して、読者の皆さんにお出ししてきただけです。
一方、数字は、暴力としても機能します。
いつの時代でも、数字は、権力サイドの暴力として役に立ってきました(公害裁判の国側の証拠などを調べて頂ければ明らかです)。そのような暴力が私たちに襲いかかってきたとき、怒号、泣き落とし、腹芸などを使っても、その場限りの対応しかできません。結局のところ、数字の暴力に勝つためには、数字で闘わなければならないのです。
まあ、そのような物騒な話はさておき。
私は数字を扱うために、二次関数や三角関数、指数関数や対数関数を使いこなす必要はないと考えています。事実、私が、この1年間で使ってきた道具は、電卓でできる四則演算(とエクセルと気合)だけです。
たったそれだけのもので、世の中の大半の問題は、数字に置きかえて理解できるようにできている ―― それが、この連載で私が皆さんに申し上げたいことなのです。
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